2016 Fiscal Year Research-status Report
ダイラタント流体の二種類の異なるずり粘化メカニズムの解明
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15K05223
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
永弘 進一郎 仙台高等専門学校, 機械システム工学科, 准教授 (20419154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 秀 九州大学, 理学研究院, 教授 (90155771)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ずり粘化流体 |
Outline of Annual Research Achievements |
ずり粘化流体として、片栗粉と塩化セシウム溶液を混合した流体を考え、一定値のずり応力を加えた際の流体の応答を明らかにするのが研究計画全体の目標である。実験系として、内径が130mmの円筒の中心に外形50mmの円柱を配した2重円筒を用い、間にずり粘化流体を充填した系に対して、中心軸に一定トルクを加えて回転させる。 同等の系に対して我々が開発したずり粘化流体の流体力学モデルを適用してシミュレーションを行うと、新奇な自励振動が生じることが予言されている。本実験においても20Hz程度の定常な振動が発生することを確認した。 この振動は、ずり粘化流体の粘化と緩和の繰り返しによって起こっていると予想できる。我々は、外側円筒の内壁での圧力分布を測定することで、流れの中の粘化領域が予想に反して強く局在化していることを見出した。さらに年かによって正圧と負圧が両方観測されることから、それぞれメカニズムの異なる粘化メカニズムが存在することを予想している。この結果は、アメリカ物理学会のphysical Review E誌に2016年11月づけで掲載された。 さらに粘化領域の圧力値と系に印加する外応力とのを見出すことに取り組んだ。観測される圧力の最大値は、流体の表面張力と粘性によって決まるものと予想される。まず外円筒での圧力測定点を増やし、観測される正圧と負圧のサンプル数を稼ぐことで統計処理の制度を上げた。得られたデータを現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画の1年目では、研究がよく進捗し、その成果を論文の形にまとめて投稿することができた。しかしその論文のレフェリーから多くの指摘があり、それらに対応するために追実験や新しい測定を多く行う必要が新たに生じた。結果的に、約1年かかって論文は掲載されたものの、その間研究自体の進捗が遅れてしまった。現在はそれを巻き返すべく、進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
正圧を伴う粘化領域と負圧を伴う粘化領域の存在は、実験から確認され、シミュレーションによっても確かめられた。それら2つの性質を理解するための鍵として、圧力の最大値と外力の関係に着目する。それは間隙流体の性質に大きく左右されるだろうと予想されるので、我々は流体の粘度と表面張力を変化させ、圧力値への影響を探る予定である。
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Causes of Carryover |
投稿した論文の査読が1年かかり、その間にレフェリーからの指摘で多くの追実験と再実験をおこなったため、研究の進捗が遅れてしまったのが主な理由である。また、実験系を一定トルクで回転させるためにサーボモータを用いることを計画していたが、実際にテストしてみると、サーボモータ自体のフィードバック制御が、ずり粘化流体のはげしい粘度変化に追いつかず、トルク一定制御が働かないことがわかった。そのため実験方法の変更が必要となり、当初予定していた、材料の引張と圧縮の実験を行うことができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
差額は、引張と圧縮試験のための圧力センサーとその増幅装置に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)