2015 Fiscal Year Research-status Report
赤血球集合機構の解明:架橋集合と枯渇集合二つの競合するメカニズム
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15K05240
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
外山 吉治 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (50240693)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 赤血球集合 / フィブリノゲン / 水晶振動子マイクロバランス / ゼータ電位 / ノイラミニダーゼ / ポリエチレングリコール / コンカナバリンA |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実施計画は1)および2)である。 1)赤血球と種々の集合因子との相互作用測定: すでに集合メカニズム(架橋集合)が明らかにされているコンカナバリンA(Con A)とウマ赤血球の相互作用測定に続き、ポリエチレングリコール(PEG)およびフィブリノゲンとの相互作用を水晶振動子マイクロバランス(QCM)法を用いて測定した。実験はウマ血液を遠心分離して得られた赤血球をリン酸緩衝生理食塩水中に体積分率1%で懸濁させた。水晶振動子表面への集合因子の固定化は、PEGの場合は末端にオリゴエチレングリコールを有するHydroxy-EG6-hexanoateを用い、フィブリノゲンの場合はゲル濾過クロマトグラフィーによって精製したフィブリノゲンを末端に活性エステルを有するDitiobis (succinimidyl hexanoate)介して行った。その結果、PEGの場合は赤血球添加後の周波数変化は極めて小さく、赤血球との相互作用はほとんどないことが分かった。一方、フィブリノゲンの場合はConAとは逆に周波数の増大が観測され、赤血球-フィブリノゲン間に比較的弱い相互作用が存在することが示唆された。 2)由来の異なる赤血球とフィブリノゲンとの相互作用測定: ウマ(強い集合能)、ブタ(ヒト赤血球と同程度の集合能)、ウシ(集合能をもたない)と特徴的な集合能を有する赤血球とフィブリノゲンとの相互作用を測定した。前述と同様に振動子表面にフィブリノゲンを固定化し、赤血球を添加するといずれの赤血球も周波数の増大が観測された。周波数の増加は、ウマ赤血球で123±34 Hz、ブタ赤血球で88±27 Hz、ウシ赤血球で41±18 Hzと集合能との間に正の相関が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
補助事業期間における具体的な研究目標は以下1)から3)である。 1)種々の集合因子を用いた実験:フィブリノゲン、ポリエチレングリコールおよびデキストランと赤血球との相互作用を測定する。 2)由来が異なる赤血球を用いた実験:集合能が異なるウマ、ブタおよびウシ赤血球とフィブリノゲンとの相互作用を測定する。 3)赤血球表面の物理化学的性質を変化させた実験:酵素処理、pHおよびイオン強度による赤血球表面の物理化学的性質の変化が集合能に与える影響を調べる。 研究計画では本年度の達成目標は1)および2)であり、研究実績概要に記した通りおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ交付申請書に記載した研究計画に沿って順調に研究が進展している。従って、今後も当初の研究計画に沿って進めて行く予定である。次年度の具体的な研究目標は、赤血球の物理化学的性質の影響として、酵素処理を施した赤血球とフィブリノゲンとの相互作用を測定する。具体的な実験としては、酵素ノイラミニダーゼを用い赤血球表面のシアル酸を切断する。次に蛍光試薬を用いて遊離したシアル酸を定量する。負電荷をもつシアル酸が除去された赤血球のゼータ電位を測定するとともに、QCM法によりフィブリノゲン間の相互作用を調べる。
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Research Products
(5 results)