2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K05251
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 団 大阪大学, たんぱく質研究所, 講師 (40350475)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 生物物理 / ナノ材料 / 熱工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物による発熱を1細胞レベルで計測し、そのメカニズム解明を目的とした細胞内温度計測の技術開発が進められているが、マクロスケールで測られる値では1細胞から得られた結果を説明できない(「10の5乗ギャップ問題」)。10の5乗ギャップの所在を明らかにするため、本研究では、細胞内に特有の環境が希薄な水系と異なるかどうか、実験的に確かめることを目指す。特に当該年度は、熱産生に特化した褐色脂肪組織を構成し、多くの脂肪滴を内包する特徴的な細胞内構造を有する褐色脂肪細胞を、計測の対象として実験を進めた。 まず褐色脂肪細胞における熱産生に由来する細胞内の温度変化を、1細胞で定量イメージングする新しい手法を開発した。次にこの手法を用いて検討を進めていたところ、活性化した褐色脂肪細胞のミトコンドリアpH変化に特徴のあることが見いだされ、さらに熱産生と時間的に相関していた。そこでこの研究をさらに進めた。ミトコンドリアCa2+濃度変化、ならびに小胞体(ER)のpH変化、Ca2+濃度変化を合わせてイメージングすることで各パラメータ変化の時間的相関を得た。この解析から、褐色脂肪細胞のミトコンドリアとERによる細胞内小器官間のコミュニケーションが、褐色脂肪細胞が効率よく熱産生するのに重要であることが強く示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者が、当該年度途中で所属研究機関を異動したことに伴い実施予定項目の一部に当初計画からの遅延が生じた。いっぽう褐色脂肪細胞の細胞内温度変化を安定して検出できる蛍光イメージング法を確立した点では、計画通りであった。さらにこの手法を用いて細胞内環境の特異性を追究していたところ、褐色脂肪細胞による熱産生の分子メカニズムにかかわる研究へと思いがけず発展した。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究を継続し、当初の研究計画に沿って次年度も研究を進める。目的達成のため、従来とは別の温度イメージング技術の開発もあわせて実施し、最も適切な手法を見出すことを狙う。
|
Causes of Carryover |
研究代表者が、当該年度途中で所属研究機関を異動したことに伴い実施予定項目の一部に当初計画からの遅延が生じた。またいっぽうで、計画からの遅延が比較的少ない項目については、論文として成果発表するにあたり、統計学的な解析に必要なデータ数の確保のため、また再現性の確認、コントロール実験など追加する必要があることなどから、補助事業期間の延長を申請し、承認をいただいた。
|
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Single-cell analysis of temperature-sensing mechanisms under a photo-thermal conversion microscope2018
Author(s)
Oyama, K., Zeeb, V., Arai, T., Itoh, H., Shintani, S.A., Suzuki, M., Fukuda, N., Ishiwata, S.
Organizer
第95回日本生理学会大会
-
-
-
-
-
-
-
-