2018 Fiscal Year Annual Research Report
Microscopic thermal property in a cell
Project/Area Number |
15K05251
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 団 大阪大学, 蛋白質研究所, 講師 (40350475)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生物物理 / ナノ材料 / 熱工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物による熱産生は生物学、生理学分野における研究テーマとして、ふるえ熱産生、非ふるえ熱産生といった主要な熱産生メカニズムについての分子的な説明が可能になりつつある。しかしその多くは個体、もしくは多細胞の平均的描像による理解を主とし、たとえばある細胞に着目したとき、いつどこでどのくらいの熱が放出されるのか、といった知見は、これまで主要な研究対象ではなかった。そこで熱産生の細胞内メカニズム解明を目的に、熱産生を1細胞レベルの温度変化として計測しようとする細胞内温度計測技術の開発と応用が、研究代表者らを始め様々なグループによって進められている。いっぽう、マクロスケールで測られる値と、細胞を均一な水とする単純化したモデルとを用いても、1細胞を対象としたこれまでの報告が再現されない、もしくは説明できない。我々はこれを「10の5乗ギャップ問題」と名付け、計測における技術的な問題点の可能性、および単純化したモデルにおいて決定的に欠けている要素と、実験とモデルの両方向から議論してきた。本研究では、この10の5乗ギャップの所在を明らかにすることを目的とし、細胞内に特有の環境は希薄な水系と異なるかどうか、実験的に確かめることを目指す。特に当該年度は、昨年度の途中で所属研究機関を異動したことで遅延の生じていた実施予定項目として、発熱と温度計測を行える新規ナノ材料の開発に着手し順調に進捗した。溶液系による特性の評価のほか、電子顕微鏡を用いた一通りの確認をほぼ終え、現在、細胞を用いた実験へと移行している。細胞毒性の評価と細胞内局在の確認を終え、さらに細胞内での計測へ利用している。より質の高い成果とするべくコントロール実験を含む計測一式を進めており、途中の成果を本年度に論文として発表することは控えた。現在に予定する実験の全てを終え次第、成果をまとめ、論文とすることを計画している。
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