2017 Fiscal Year Annual Research Report
Experimental challenge to estimate frictional properties of a plate boundary based on microseismicity
Project/Area Number |
15K05259
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
矢部 康男 東北大学, 理学研究科, 准教授 (30292197)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | AE活動 / 摩擦強度 / すべり速度依存性 / 累積すべり量依存性 / 法線応力依存性 / 断層面の摩耗 |
Outline of Annual Research Achievements |
花崗岩試料を用いた摩擦実験を行い,摩擦強度およびAE活動の累積すべり量依存性に法線応力が及ぼす効果を明らかにした. 昨年度までに行った法線応力が5MPaの条件下では,断層の摩擦強度は,累積すべり量が小さい時にはすべり速度に正の依存性を示すがその依存性は徐々に弱くなり,ある累積すべり量を境に負の依存性に転じることがわかっていた.一方,AE活動の規模分布を特徴づけるパラメターであるb値は,累積すべり量が小さい時には正のすべり速度依存性を示すが,累積すべり量がある値に達すると負のすべり量依存性に転じる.これらの累積すべり量依存性は断層面の摩耗と関係していると考えられ,摩擦強度とAE活動それぞれのすべり速度依存性の符号が転じる累積すべり量は一致していた. 法線応力10MPaと15MPaの条件下で同様の実験を行ったところ,摩擦強度とAE活動のすべり量依存性に対する累積すべり量は法線応力5MPaのときと定性的には同様であったが,法線応力の増加に伴いすべり速度依存性の符号が転じる累積すべり量は小さくなった.これは,法線応力が大きくなることで断層面上の微小突起のかみ合いが強くなり,断層面の摩耗がより効率的に進むためであると解釈できる. 累積すべり量の増加に伴う摩擦強度やAE活動のすべり速度依存性の変化を指数関数で近似したところ,両者のすべり速度依存性が定常状態に達するのに要する累積すべり量は法線応力に反比例していた.このことは,断層面が摩耗してその形状が定常状態に達するまでに外力がする仕事が法線応力によらずほぼ一定であることを示唆しており,摩擦強度やAE活動の累積すべり量依存性が断層面の摩耗によっているという上記の考えを支持する.
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