2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K05269
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
金嶋 聰 九州大学, 理学研究院, 教授 (80202018)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 下部マントル / 地震波 / 散乱体 / 化学不均質 / マントル対流 / 玄武岩 / 海洋地殻 / アレイ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、下部マントル散乱体の検出をめざし、トンガ・フィジー地域の地震に対して過去30年間に蓄積された世界各地の地震波形アレイのデータを系統的に見直し、それらにアレイ処理を施してSP変換波の検出を行った。その結果、20個以上の散乱体を同地域下の下部マントルの深さ900kmから1900kmの範囲に検出した。それらの散乱体分布の特徴や個々の散乱体の形状に関する分析の結果を論文としてまとめ、Physics of the Earth and Planetary Interiors誌に投稿した。同論文は現在査読中である。 また、当該年度は北米のアレイデータを用いて、新たにP’P’波の先駆波の検出に着手した。その結果アフリカ直下のLLSVP付近の下部マントル中に多数の散乱体を検出している。次年度はこの研究成果を早急に公表するべく作業を進める。マントル深部の大規模構造であるLLSVPと、より小規模でかつ顕著な散乱体の関連を探っている段階である。 また、当該年度の8月から9月にかけて約2週間、ミシガン大学のJeroen Ritsema教授の研究室を訪れ、上記の下部マントル不均質に関する研究に関連した議論や共同作業を行った。また、同教授のグループが進める南米直下の下部マントル深さ約1700kmにおける顕著な散乱体の形状の研究に協力し、下部マントル中のかつての海洋地殻の様相 を探ろうとしている。その成果は近々学術誌に投稿される予定となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予想していなかった、アフリカLLSCPに関連する地震波散乱現象を発見することができた。そのため、これまでの沈み込み帯だけでなく、他のテクトニクスの地域の調査が可能となり、研究の新たな展開が期待できる状況になった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在査読中のトンガ・フィジー地域の下部マントル散乱体に関する論文の掲載のために必要な作業をする。また現在進行中の2つの研究、P’P’先駆波と南米下の散乱体の、論文の投稿に向けて作業する。 今年度も8月~9月にかけて、ミシガン大学を訪れ、Ritsema教授との共同研究と連携を深める。さらにカーネギー研究所のPeter van Keken教授との連携を発展させ地球ダイナミクスモデルと地震波散乱の研究をより有機的に結合させる。
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Causes of Carryover |
当初予定した計算機関連の消耗品の購入の必要が無かったこと、旅費がやや節約できた事により生じた残額を、次年度に使用することにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
使用したデータの保存等のため最終年度は計算機関連の消耗品を必要とする。またミシガン訪問の期間をかこ2年よりもやや長くする予定である。
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Research Products
(1 results)