2016 Fiscal Year Research-status Report
多面的アプローチによる地球浅部の温度不均質構造解明に関する研究
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15K05275
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
田中 明子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 活断層・火山研究部門, 研究グループ長 (40357455)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地下温度構造 / 地殻熱流量 / 温度プロファイル / 熱伝導率 / 磁化層 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,系統的に取り扱われる機会の少ない熱伝導率の測定や既存データの活用を通じ,地球熱学の基礎的なデータである地殻熱流量値の拡充に努める.一方,それらでは捉えることのできない広域的な地球内部温度構造に敏感な指標のデータ解析手法の開発・改良を行い,従来には無い多様なデータに基づく地球浅部の温度構造を,高分解能かつグローバルに捉えることを目的とする. 本年度は,昨年度に引き続き,熱的物性値のデータ蓄積に向けて,熱伝導率・熱容量および密度の測定を常温・大気圧条件下で行った.火山噴火予知連絡会コア解析グループ [2015, 2016] による 4 火山の 5 地点における 14 個のサンプル,小沢・江藤 [2005] において孔内温度が公開されている 3 地点 8 個のサンプルなどを用い,様々な形状・状況にあわせて,異なる測定装置を用いて測定した.また,一部のサンプルを用い,有効間隙率の測定も行い,物性値の間で有意な関係を得ることができることを確認した. さらに,昨年度までに得られた平衡温度などを用いて,地殻熱流量を新たに求めた.これらを加え,コンパイルされつつある既存のデータとともに,地殻熱流量データベースの作成を始めた. 一方,直接的な観測量である地殻熱流量の無い場所の情報を補うために,広域的な温度構造を反映していると考えられている磁化層の下限の分布やそれを規定する要因を定量的な解釈を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,熱伝導率の測定を行い,それらに基いて,新たに地殻熱流量のデータを得ることができた.また,地磁気異常データを用い広域的な地球内部温度構造に敏感な指標のデータ解析を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は,これまでの個別研究をさらに進めるとともに,公表する計画である.得られたデータを加え,収集・コンパイル・解析した,地球浅部の熱物性に関わるデータを,データベース化し,出版物として公開する予定である.一方,地球浅部の温度構造の指標をグローバルに捉えることを試みる.最終年度であるため,これらの公開を順次進める計画である.
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Causes of Carryover |
熱物性値の測定時期が,公表を予定していた国内学会の予稿集投稿時期より遅くなったため,公表することができなかったためなどによる.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度ということもあり,成果の公表に関わる経費に使用する予定である.
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