2017 Fiscal Year Annual Research Report
Estimation of vertical profiles of CO2 mixing ratio in the Martian polar nights by using radio occultation technique
Project/Area Number |
15K05289
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
野口 克行 奈良女子大学, 自然科学系, 助教 (20397839)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 火星 / 極夜 / 二酸化炭素過飽和 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、主に米国の火星探査機MGSの電波掩蔽観測データと火星大気大循環モデルによる数値シミュレーション結果(連携研究者、研究協力者からの提供による)を用いて、前年度に明らかになった極夜時の火星大気中の二酸化炭素(CO2)過飽和と大気波動の関連性、特に非定常波との関連性を詳細に解析すると共に、前年度までに導出した極夜におけるCO2混合比鉛直分布の詳細な解析を行った。 非定常波の解析においては、MGSの電波掩蔽観測データが北半球の極夜域を秋から春までほぼカバーしている火星年(MY)27に着目した。過去の文献等により、波数1から3程度の波動が卓越していることがわかっているため、本研究でもそのような波数を持つ大気波動に着目し、観測データのみから極夜期間中の気温擾乱の非定常波成分の経度・高度断面図を得ることに成功した。得られた気温擾乱は傾圧不安定波の性質を持つケースが多数見られ、そのような気温擾乱によってCO2過飽和イベントが発生していることが確認された。そのため、極夜域において、傾圧不安定波によってCO2過飽和が発生していることが示唆された。 CO2混合比鉛直分布の解析においては、導出された鉛直分布に階段状のステップ構造が多数現れていることが明らかになった。極夜大気中のCO2は主に地表面付近で凝結していることを考慮すると、地表面はCO2のシンクとして働いていることになる。そのため、CO2混合比は、地表面に近くなるほど小さくなると考えられる。CO2混合比の鉛直分布にステップ状の構造が存在するということは、このようなCO2混合比の背景場に対して、何らかの過程で局所的に大気が強くかき混ぜられていることを示唆する。
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Research Products
(6 results)