2018 Fiscal Year Annual Research Report
Spatial and temporal evolution of the plasma flow channel including its interface
Project/Area Number |
15K05300
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田口 聡 京都大学, 理学研究科, 教授 (80251718)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 電離圏 / 極域 / プラズマフロー / 中性大気 / オーロラ / カスプ |
Outline of Annual Research Achievements |
地球の高緯度電離圏に存在する大規模なプラズマの流れの中には,局所的に狭いチャネルとなって高速の流れが生じている領域,フローチャネルが数多く存在している.本年度は,フローチャネルを具体的に表現する電場分布と,その領域で増大する電気伝導度の分布を与えて,中性の鉛直風と質量密度がどのような振る舞いをするのかを数値シミュレーションにより調べた.電気伝導度は,その分布を直接的に与えるのではなく,磁気圏から磁力線に沿って降下してくる電子が大気を電離させる過程もモデル化することで取り込んだ.そのため,電気伝導度と電場で決まるジュール熱に加えて,降下する電子が与える熱もモデル化できている.擾乱のない平衡状態のもとで,時刻t=0にステップ関数的に電場と電子降下を与えて,その直後に発生する大気重力波が収まった後の分布を調べることで,以下のような結果を得た.鉛直風速度の上昇と質量密度の増加は共に,降下電子のエネルギーが相対的に低い時に大きくなる.100 eV 程度の特性エネルギーが最も効果的に作用する.これは,このようなエネルギーの電子降下が電離圏で比較的高高度である 300 km 付近での電離と加熱を促進させるためであると考えられる.一方,電子の降下エネルギーを数 keV に上げると,電子降下が背景密度の大きい低高度部分に作用することになり,その部分の鉛直風や質量密度にほとんど影響を及ぼさない.100 eV 程度の特性エネルギーをもつ降下電子のエネルギーフラックスを上げると,高度 300 km 付近での鉛直風速度の上昇と質量密度の増加は一層顕著になる.フローチャネルの最大速度を大きくした場合も同様に作用する.一方,フローチャネルの幅の効き方は,鉛直風速度の上昇と質量密度の増加に対して異なっており,フローチャネルの幅が狭いときには前者の上昇が顕著になり,後者の増加は幅が広いときに大きくなる.
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