2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K05308
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
藤本 光一郎 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (80181395)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | モンモリロナイト / 水 / 塩分濃度 / 降伏応力 / 粘性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,天然の断層破砕帯の野外観察,物質解析と実験的検討による破砕帯物質の反応や変化の速度評価を組み合わせ,断層破砕帯の物質変化と地震サイクルの関係を把握することを目的としている. まず,昨年度までに実施したモンモリロナイトの粉砕実験の結果などを論文にし公表した. 野外観察としては,神奈川県箱根町にある箱根町断層の北方延長と考えられる露頭の調査,および熊本県天草町の陶石脈の調査を行った.箱根町の露頭では,断層破砕帯にスメクタイトや炭酸塩鉱物が含まれていること,断層運動のセンスなどから箱根町断層の運動センスと調和的であることが明らかになった.第四紀に形成された比較的新しい断層破砕帯の例である.一方,天草の陶石脈は中新世の流紋岩質の岩脈がそのまま白雲母などの鉱物に交代している.壁岩との境界が一部断層となっており,変質と断層破砕の影響の比較という見地から検討を進めている. 実験としては,本研究課題で購入したレオメータを用い,モンモリロナイト‐水系の粘性を異測定した.月布産のナトリウム型モンモリロナイト(日本粘土学会参考試料,JCSS-3101)を用い,水はイオン交換水と,NaCl水溶液の二種類を用い,含水比を変化させて粘性と降伏応力を求めた.いずれの場合も含水比が高くなるにつれて降伏応力と粘性の低下が見られた.特に含水比が100%から200%に移る際に大幅な降伏応力の低下が見られた.また,イオン交換水の場合含水比700%以上の条件では液体のようにふるまい,降伏応力,粘性ともに大幅な変化は見られなかった.粘性や降伏応力が大きく変化する含水比は,いわゆるコンシステンシー限界とよく対応している.一方,塩濃度の影響について,塩濃度が1.0%から2.0%に上がることで,降伏応力と粘性の大幅な低下が見られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モンモリロナイト水系の粘性実験については,ほぼ予定通りの進捗状況であり,最終年度に論文化を進める. 野外観察については,いくつかの典型的な断層破砕帯の調査を進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
レオメータを用いる粘性実験については,29年度はカオリナイトや雲母を用いる実験を行い,層間水を有するモンモリロナイトとの相違を検討することを行う. さらに粘土―水系の挙動を調べ,地震サイクルとの関連性について検討を進めたい.
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Research Products
(3 results)