2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K05329
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
松岡 篤 新潟大学, 自然科学系, 教授 (00183947)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 放散虫 / 系統進化 / 形 / 生態観察 / マイクロCT / 3Dプリンター |
Outline of Annual Research Achievements |
系統関係を検討する優先順位として,多節ナセラリアの中からはEucyrtidium属を,閉室ナセラリアからはTurbocapsula属を選び,集中的に取り組んだ. 検討したEucyrtidium属2種(E. hexagonatum HaeckelとE. hexastichum (Haeckel))の殻形態の違いである殻孔の配列パタンは,中生代の多節ナセラリアの分類基準を適用すると科のレベルの違いをもつといえる.仮足に代表される軟体部の形態にも明らかな差異が認められる.その一方で,分子生物学的検討からは非常に近縁であるとの結果が示されている.この検討により,殻および軟体部の形態と分子生物学的なデータとは必ずしも整合的でないことを示す一例を認識することができた.どういう形態形質が本質的なのかをつきとめるのかが今後の研究の鍵となる. Turbocapsula属の系統進化については,チベット南部のセクションにおいて,形態形質が系統的に変化することを追跡することに成功した.Turbocapsula fugitivaの祖先種からTurbocapsula fugitivaへの進化は,殻室の減少により特徴づけられる.Turbocapsula fugitivaからTurbocapsula costataへの進化は,肋の発達により特徴づけられる.白亜紀古世のTubocapsula属の進化は,ジュラ紀中世のStriatojaponocapsa属の系統進化と類似点があることが判明した.すなわち,両系統において,進化の初期に4殻室から3殻室への減少が生じている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
南チベットのセクションが白亜紀古世の放散虫の検討に適していることが,研究の初期段階に判明し,集中的に研究を進めることができた.Turbocapsula属の進化系統の理解については,所期の予想を超える成果を上げることができた. 3Dプリンターでの造形を効果的に行うことが本研究を進めるうえで必須であるが,新潟県内の企業において,プラスティック製の模型が作成できることがわかり,研究を遂行する筋道がついた.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題のもうひとつの柱である,マイクロCTを使った放散虫殻のデジタルデータを取得を並行的に進めていく.現生放散虫の生態観察についても,引き続き実施する.3D模型への出力についてはメドがたっているので,予定通りに研究を進めることが可能である.
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Research Products
(10 results)