2015 Fiscal Year Research-status Report
津波堆積物の古生物学的・堆積学的・化学的アーカイブの構築
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15K05334
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
澤井 祐紀 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 活断層・火山研究部門, 上級主任研究員 (20399504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷川 晃一朗 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 活断層・火山研究部門, 研究員 (30613541)
松本 弾 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 活断層・火山研究部門, 研究員 (80709551)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 津波堆積物 / 粒度分析 / 化学分析 / 微化石分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,過去に堆積した津波堆積物を採取するため,北海道東部において野外調査を行った.また,2011年東北地方太平洋沖地震による津波堆積物を採取するため,福島県新地町および南相馬市,千葉県山武市において現地調査を行った. 浜中町霧多布湿原では,17世紀に千島海溝南部で発生した連動型地震の津波堆積物をターゲットにして,ハンディージオスライサーによる掘削調査を行った.その結果,17世紀とそれより古い津波堆積物を採取することができた.得られた試料は,はぎ取り標本を作製して肉眼による堆積構造の観察をするとともに,CT写真撮影によって堆積構造の有無を確認した.CT写真を撮影した後,試料を分割・均一化し,ICP発光分光分析による陽イオン測定およびイオンクロマトグラフィーによる陰イオン測定を行った.この結果,津波堆積物中およびその上下の地層における水溶性イオンの分布を知ることができた.また,堆積物中に含まれる有機化合物の起源を特定するために,ガスクロマトグラフ分析の準備を行った. 福島県新地町では,2011年東北地方太平洋沖地震が発生した直後に津波堆積物を採取した場所を確認し,VRS-GPSによる測量によって地形断面を作成した.福島県南相馬市においては,小高区周辺で2011年の津波堆積物の分布を確認するとともに測量作業を行った.福島県の両地域で得られた試料については,粒度分析を行った結果,その多くに級化構造がみられるなど,地点ごとの粒度組成の垂直変化を明らかにした. 千葉県山武市においては,2011年東北地方太平洋沖地震が発生した直後に津波堆積物を採取した場所を確認し,VRS-GPSによる測量によって地形断面を作成した.また,2011年当時に採取された試料について,珪藻化石群集を抽出し,その種構成を調べた.その結果,珪藻化石が豊富に含まれる層準とそうでない層準が存在することが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
個々の分析について,当所想定したより多くの時間を要している.
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Strategy for Future Research Activity |
外部人材との協力を強化し,分析項目を増やすと共に,その分析速度も上げていく.
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Causes of Carryover |
野外調査の際,所属研究所の業務とあわせることによって旅費の出費を節約することができた.その結果,当年度の出費が抑えられ,次年度使用額が発生した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
分析量を増やすことにより,消耗品費として使用する予定である.また,研究協力者と野外調査に行く際は当科研費から出費する計画をしている.
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