2015 Fiscal Year Research-status Report
高温変成岩の温度圧力経路から見た形成テクトニクスの体系化
Project/Area Number |
15K05346
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
馬場 壮太郎 琉球大学, 教育学部, 教授 (10347122)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 変成作用 / 地殻形成 / 原岩形成場 / 温度圧力経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,東南極中央ドローニングモードランドの内陸山地および沿岸露岩を構成する変成岩類を対象として形成年代,塩基性片麻岩類の全岩化学組成に基づく原岩形成場や変成貫入岩類の時系列区分を検討した.それぞれの地域において,1. 沿岸露岩―原岩形成場:島弧,背弧海盆;変成年代:約645 Ma,2. 内陸山地a―原岩形成場:島弧;変成年代:約520 Ma,3. 内陸山地b―原岩形成場:島弧,海山;変成年代:約600Maである可能性が得られた.沿岸露岩での変成貫入岩類の時系列を明確にするため,偏光顕微鏡下で変成組織観察,ならびにEPMAを用いて斜方輝石,単斜輝石の鉱物化学組成を再検討したところ,火成岩由来の輝石が一部に含まれることが示唆された.ザクロ石および両輝石の産状から変成ピーク時に背弧海盆由来の塩基性岩が貫入し,斜方輝石の周縁にザクロ石コロナが形成したこと,さらにその後の後退変成作用時に島弧由来の塩基性岩が貫入し斜方輝石を置換しカミングトン閃石が形成したことが想定された.沿岸露岩にみられる等圧冷却を示す変成作用は,背弧海盆で生じた可能性が高い.予察的な地殻発達過程として,背弧海盆の形成と等圧冷却を伴う高温~超高温変成作用,微小大陸の多重衝突による等温減圧を伴う衝突型の変成作用の2つの存在が挙げられる.しかし,背弧海盆における玄武岩類の化学組成は多様であるため,その判断を明確にすることが必要である.また,輝石類の主要元素含有量に基づく起源の推定(変成作用もしくは火成作用)についても更なる検討を要する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
レーザアブレーションICP質量分析(LA-ICP-MS)を用いた鉱物希土類組成分析を遂行することができなかったことによる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はLA-ICP-MSによる鉱物の希土類元素含有量の測定を実施する予定である.特に塩基性片麻岩の構成鉱物(主に輝石)について,希土類含有量に基づき,火成岩由来であるか変成岩由来であるかについて検討を行い,変成貫入岩類の時系列の推定を試みる.
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Causes of Carryover |
当初発注額よりも安価で物品が納入されたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品を購入する
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Research Products
(3 results)