2016 Fiscal Year Research-status Report
海嶺下における太古代枯渇かんらん岩の普遍性と時空分布:海洋地殻形成機構 の再検討
Project/Area Number |
15K05358
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
仙田 量子 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (50377991)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | マントルの不均質性 / 海洋底かんらん岩 / クロムスピネル |
Outline of Annual Research Achievements |
複数の海嶺に由来する海洋底かんらん岩について、全岩および鉱物分離試料に対し、白金族元素を含む元素存在度・同位体比測定を行い、『太古代枯渇かんらん岩』の普遍性(量と広がり)、生成年代、溶融条件を把握し、上部マントル温度やその組成や構造の抜本的見直しおよび海洋地殻形成モデルの再検討を行う事が研究目的である。 初年度には南西インド洋海嶺およびケイマン海溝からえられたドレッジサンプル試料を入手し薄片作成と顕微鏡観察を行い、鉱物分離に適した試料の選別を行い、全55試料中10試料に対して、スピネル精選処理などを行い、17~53mgのスピネルを得ることができた。また、EPMAによる鉱物科学組成の分析も合わせて行った。研究2年目にあたる本期間では、かんらん岩全岩試料の白金族元素およびオスミウム同位体比分析を行った。現在これらの試料のデータ解析を進めているところである。また、直近の予定としては、鉱物分離試料であるクロムスピネルの白金族元素とオスミウム同位体比分析のための分解・分析を進めている。加えて、かんらん岩全岩試料に対する微量元素存在度の分析により、白金族元素やオスミウム同位体比だけでなく、微量元素の面からも枯渇度の解析を行う。これらの分析により、得られた枯渇度と生成年代から、マントルの溶融条件を把握し、上部マントル温度やマントルの組成・構造について海洋地殻形成モデルの再検討を行う。また、これらの成果を国際学会および国際誌に発表する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度には、鉱物分離試料としてのクロムスピネルのデータを一部得られるはずであったが、EPMAの不調および自身の所属異動により、物理的に実験を行う時間を確保することができず、クロムスピネルのデータ採取が遅れている。しかしながら、全岩分析をすでに行っているため、全体的にはそれほど大きな進捗の送れば出ていない。鉱物分離したクロムスピネル試料も精選処理まで可能だったものは10試料程度であるため、分析を適宜進めていきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度前半に、全岩およびクロムスピネルのOs同位体比と白金族元素データが出そろう。これに今後分析を行う予定の全岩微量元素分析および、クロムスピネルのEPMAデータを合わせて、当初の目的である、セッティングの異なる2つの海嶺軸から採取されたかんらん岩の白金族元素(PGEs)や微量元素から枯渇度を、オスミウム(Os)同位体比からメルト抽出モデル年代(後述)を求め、海嶺軸でのマントル不均質の大きさと頻度、形成年代と地球化学的性質を検討する。
|
Causes of Carryover |
自身の異動に伴い、物理的に実験時間が取れなかった事により、予定通りの分析および予算使用ができなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度に前年度に進められなかった分析を適宜進めていく。また、年度後半では国際学会での発表を予定している。
|