2015 Fiscal Year Research-status Report
プラズマフィラメントを用いたDARCによる高強度テラヘルツ電磁波放射
Project/Area Number |
15K05361
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
湯上 登 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60220521)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | レーザー / プラズマ / テラヘルツ / 電磁波 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、サブテラヘルツ電磁波が発生することが可能なDARCの構造体を製作し、実験を行った.DARCはガス中に置かれたコンデンサー列に周期的な静電場を励起し、その間隙に超短パルス高出力レーザーを集光照射することによって、光速で伝搬する電離面を形成し、静電場に応じた電流を電離面表面にながすことによって電磁波の放射を行う.今回製作したDARC構造体は、隣り合う電極間隔が2mm、向き合う電極間隔が1mmとした.周期数は2である.コンデンサーには最大 3 kV の電圧が外部の電源から供給される.このDARCからサブテラヘルツ周波数帯の電磁波を発生するには、プラズマ密度が 10^14 から 10 ^15 1/cc である必要があるので、これまでの実験結果より初期の窒素ガス圧を1から100 Pa(パスカル) として実験を行った.
これまで計測できていた0.3 THz であったが、今回科研費で購入した検出器によって最大0.5 THz まで計測することが可能となり、その検出器によって実験的に0.5THz の電磁波が観測することができた.これまでの検出器の感度較正から0.1 から 0.5 THz の周波数領域における電磁波の周波数スペクトルが明らかになった.DARCでは初期に励起している静電場の周期数によって、発生する電磁波の周波数広がりが決まる.今回実験的に観測された周波数広がりは理論的に予測されるものとほぼ同じ値であった.また、ガス圧を高くする、つまりプラズマ密度を上昇させることによって発生する電磁波の周波数も上昇した.これは発生周波数はプラズマ密度に依存するという理論的に予測されていることと一致している.また、電磁波の発生出力は印加電圧(電場)に依存し、これも理論で予測されたものである.各パラメーターの依存性は理論とよい一致を見ている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記、研究実績の概要でも述べたように、申請時に研究目的としたDARCの高周波化( 1 THz を目指した) に向けて、DARC本体を設計し、また実験も行っており、これまでより高周波の電磁波(0.5THz)の観測に成功している.また、二周期の静電場励起の実験では、発生した電磁波の周波数広がり(Δω/ω)が理論で予測される値とほぼ同じであることを確認している.このような状況と申請時に述べた目的などと勘案することより、「おおむね順調に進展している」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
上記のようにDARCの高周波化についての知見は得られており、また理論との一致する点も数多い.しかしながら、発生する電磁波の出力に関しては、理論と比較したとき3桁以上小さい値となっている.これに関しては、発生した電磁波が観測している前方方向に発生せずに、広がっていることも考えられるので、発生箇所を導波管構造にし、更に真空に出るところにホーンアンテナを設置し、インピーダンスのミスマッチング(不整合)を抑制することも行った.その結果、ある程度効果は観測されたものの、3桁の差異を埋めることができなかった.現在、出力の低下に関してシミュレーション手法による理論的な研究を進めているところである.これはまだ始まったばかりであるが、現時点では、電離面で電流が流れると考えていたが、予測に反してそれほど大きな領域に電流は流れていないことが明らかになりつつある.電流の流れている面積が出力に大きく寄与するので、このことがDARCにおける電磁波出力の低下の原因になっていると考えられるであろう.電離面に電流を積極的に流すことによって、理論で予想される電磁波出力が達成されると考えられる.この状況を打破するために、外部から磁場を印加することによって電流を積極的に流すことを考え、その計算を現在行っていると同時に実験に向けた準備を行っている.
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Research Products
(7 results)