2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K05409
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
古山 渓行 金沢大学, 物質化学系, 准教授 (30584528)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | アザポルフィリン / 五価リン / 一重項酸素 / 還元特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
機能性官能基との共存が可能なフタロシアニン骨格の新規構築法について、以下2点の検討を行った。 1点目として、近赤外領域に強い光吸収を持つフタロシアニン骨格の系統的合成を行った。硫黄をはじめとした16族元素が近赤外光吸収に重要である点を踏まえ、16族元素単体と有機金属試薬を組み合わせた新たな前駆体合成法の検討を行った。後の環化を含め良好な収率で反応が進行し、様々な機能性官能基を有する近赤外色素の合成に成功した。またこれらの分光特性についても解析し、特に近赤外光照射により一重項酸素を効率良く発生できることを明らかとした。 2点目として、電子受容性を高めたフタロシアニンの系統合成を行った。このような性質の獲得として電子求引基の導入が有効であるが、効率的な合成法が存在しない点を踏まえ、14族鉛の性質を活用した新たな合成法を確立した。その後電子受容性金属錯体とすることで、非常に低いLUMOを持つことを電気化学測定から明らかとした。これはn型半導体として著名なフラーレン誘導体に匹敵する値であり、新たな電子輸送材料となることが期待できる。 また前年度に合成した化合物の物性評価として、反芳香族性フタロシアニンの還元特性の評価を行った。電気化学測定より見積もられる電位から適切な還元剤を選択し、in situで発生させた還元種のUV-vis, MCD測定を行った。最終的に二電子還元種の観測に成功し、理論計算による考察と合わせ、還元により芳香族化合物としての性質を獲得する、すなわち芳香族性がスイッチングしていることが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
異動後の研究環境の立ち上げも終了し、合成・物性測定双方で一点の知見を得ることができた。合成に成功した近赤外色素・電子受容性色素はいずれも従来法では合成が困難であると同時に、予備的な物性測定結果より、従来の化合物では獲得困難な特性(近赤外光による一重項酸素発生・フラーレン誘導体に匹敵する高い電子受容能)を有することもわかってきている。また、反芳香族性化合物の還元特性に関する知見は、芳香族性のスイッチングと電子授受に相関があることを示しており、新たな電子材料になることが期待できる。 いずれの成果も典型元素の性質を活用することが肝要であり、2年が経過して当初の研究方針の有効性を確立しつつある段階であると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
特にこれまで新たに合成に成功したアザポルフィリン類に関して、物性評価を中心に進める。溶液中における構造・分光特性にとどまらず、粉末・薄膜状態における物性解析を行い、材料応用に近い状態における化合物の有用性を検証する。また、電子受容性フタロシアニンの合成において有効であった鉛イオンを用いた手法を応用し、未だ合成例が知られていないケイ素をはじめとした、周辺に典型元素を持つ化合物の合成にも挑む。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、次年度以降の研究遂行に使用する予定である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き、次年度以降の研究遂行のため適切に使用する。
|
Research Products
(13 results)
-
-
-
-
[Journal Article] Double-decker Bis(tetradiazepinoporphyrazinato) Rare Earth Complexes: Crucial Role of Intramolecular Hydrogen Bonding2016
Author(s)
Tarakanova, E. N.; Trashin, S.; Simakov, A. O.; Furuyama, T.; Dzuban, A. V.; Inasaridze, L. N.; Tarakanov, P. A.; Troshin, P.; Pushkarev, V.; Kobayashi, N.; Tomilova, L. B.
-
Journal Title
Dalton Trans.
Volume: 45
Pages: 12041-12052
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
-
-
[Journal Article] Simple primary β-amino alcohol catalyzed enantioselective Diels-Alder reaction of 3-hydroxy-2-pyridones2016
Author(s)
Takahashi, T.; Reddy, U. V. S.; Kohari, Y.; Seki, C.; Furuyama, T.; Kobayashi, N.; Okuyama, Y.; Kwon, E.; Uwai, K.; Tokiwa, M.; Takeshita, M.; Nakano H.
-
Journal Title
Tetrahedron Lett.
Volume: 57
Pages: 5771-5776
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
-
-
-
[Presentation] An Air-stable 19π Azaporphyrinoid Radical2016
Author(s)
Taniyuki Furuyama, Takuya Yoshida, Wen Zhou, Daniel B. Leznoff, Nagao Kobayashi
Organizer
9th International Conference on Porphyrins and Phthalocyanines (ICPP-9)
Place of Presentation
Nanjing, China
Year and Date
2016-07-03 – 2016-07-08
Int'l Joint Research / Invited
-
-
-
-