2015 Fiscal Year Research-status Report
プロスタグランジン合成酵素の機能と反応に関する計算科学的解明
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15K05411
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
森 聖治 茨城大学, 理学部, 教授 (50332549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海野 昌喜 茨城大学, 理工学研究科, 教授 (10359549)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 酵素反応機構 / プロスタグランジン / シクロオキシゲナーゼ / 分子動力学計算 / QM/MM計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、以下の研究を行った。
(1) シクロオキシゲナーゼ触媒の反応に関する計算化学的研究 COX 中のヘムの酸化で生じるチロシルラジカルのアラキドン酸基質のC-H 水素引き抜きで開始する反応機構を、酵素の全原子と水も含めQM/MM(ONIOM)法や分子動力学法などを用いて解明を行っている。基質と結合したあとの律速段階は、アラキドン酸のプロトン引き抜き段階であることを示したほか、その後の、最初の酸素の結合反応の位置選択性(11位の炭素と結合)について、遷移状態における酸素とSer530残基との水素結合が制御していることを示した。 (2) プロスタグランジンD合成酵素の構造に関する計算化学的研究 基質であるプロスタグランジンH2と、リポカリン型プロスタグランジンD合成酵素との複合体の分子動力学計算(AMBER)を行った。シミュレーションの結果より、PGH2が L-PGDS の活性部位近傍に位置する複合体構造を得ることができた。また、タンパク質主鎖の Cα の座標に対して主成分分析を行うことによって、この異性化反応の位置選択性に関わる相互作用を示す残基を特定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り進捗しており、とくに、前者のシクロオキシゲナーゼの反応機構の検討は、酸素結合後の中間体の配座解析を残すのみとなっている。後者のリポカリン型プロスタグランジンD合成酵素のプロジェクトに関しては、計算結果が出たものの実験結果(NMRスペクトルや基質アナログとの結合定数)の比較に関して課題がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後に関しては、シクロオキシゲナーゼの反応機構検討を完成させ、論文作成に取りかかる。さらに、5-リポキシゲナーゼのアラキドン酸の酸化反応と比較する。5-リポキシゲナーゼについては、アラキドン酸が結合したX線結晶構造解析が報告されており、それを用いる。プロスタグランジンD合成酵素のプロジェクトについては、引き続き、NMR解析や、部位特異的突然変異導入法などとの実験結果と照らし合わせる。
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Causes of Carryover |
本年度、56,000円弱の剰余が生じたが、これは人件費・謝金の使用が予定よりも少なく0ですんだためと考えられる。本研究は、本年度も含めて3年間行われる予定であり、計画では、来年度も、引き続き研究で必要な物品の購入に使用する必要が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度は、剰余分を研究に必要なソフトウエアおよび消耗品の購入を行いたい。
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Research Products
(11 results)