2015 Fiscal Year Research-status Report
カルバゾール等のヘテロ環を基盤とするπ共役系化合物の合成とホスト分子としての応用
Project/Area Number |
15K05415
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
中村 洋介 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (60261864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 真一郎 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (70586792)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ヘテロ環 / カルバゾール / π共役 / 光物性 / ホスト / 錯形成 / シクロファン / ドナー |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) エチニル基とアジド基を有するカルバゾール誘導体の三分子クリック反応により,カルバゾールとトリアゾールからなる環状三量体1の合成に成功した。この環状三量体1は溶液中で自己会合すること,およびアニオン,特にヨウ化物イオンなどの大きなアニオンと高い錯形成能を示すことが見出された。また,環状三量体のカルバゾールをフルオレンに置き換えた環状化合物2,および環状三量体1のトリアゾールをトリアゾリウムに変換した環状化合物3の合成にも成功し,これらがハロゲン化物イオンに対して1よりも高い錯形成能を示すことが明らかとなった。特に,トリアゾリウムを有する3は,1より数十倍大きな錯形成定数を与えた。また,3の自己会合能は1より著しく向上した。これらの結果は,トリアゾリウムに変換することによる電荷密度の低下に由来する。 (2) カルバゾールの1,8位にエチニルカルバゾール部位を導入した非環状ホスト化合物をさらに合成し,TENF等のアクセプター分子との錯形成挙動について,NMRスペクトル,吸収スペクトル,蛍光スペクトル,IRスペクトル,CV,ITC等により検討し,ホスト化合物の構造と会合定数との相関について明らかにした。今年度は,ピンサーとして導入したカルバゾールのN位に水素原子を有する化合物を合成し,N位の置換基が錯形成能に及ぼす効果を明らかにした。 (3) ジベンゾフランの3,7位をジシロキサンで架橋したシクロファンを合成し,これがほぼエキシマー蛍光を示すことが示された。この結果は,ジベンゾフランの2,8位をジシロキサンで架橋したシクロファンが,エキシマー蛍光とモノマー蛍光の両方を与えたのとは対照的である。また,ジベンゾフランの3,7位をジシランで架橋したシクロファンの合成にも成功し,これがCT性の発光を示すことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,当初,大きく分けて上記に示した(1)~(3)の課題を計画していた。以下のように,いずれにおいても,当初の予定通りおおむね順調に進展している。 (1)については,カルバゾール(またはフルオレン)とトリアゾール(トリアゾリウム)からなる環状化合物の合成に成功し,フルオレンまたはトリアゾリウムの導入により,ハロゲン化物イオンとの錯形成能が向上した。また,トリアゾリウムの導入により,自己会合能が向上した。 (2)については,合成した数種類の非環状ホスト化合物と種々のアクセプター分子との錯形成挙動について検討し,錯形成挙動に影響を及ぼすいくつかの要因が明らかとなった。 (3)については,シベンゾフランの3,7位をケイ素原子で架橋したシクロファンの合成に成功し,架橋位置や架橋鎖を変えることによる特異な現象が見出された。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) カルバゾールを基盤とする環状ホストについては,カルバゾール以外の複素芳香環を用いて,異なる複素芳香環を用いることによる自己会合能や錯形成能の変化について明らかにする。 (2) カルバゾールを基盤とする非環状ホストについては,エチニルカルバゾール部位の連結位置や置換基を変えたものを種々合成し,錯形成挙動に影響をもたらす要因についてさらに明らかにする。 (3) シクロファンについては,複素芳香環の種類や架橋位置を変えたものを種々合成し,構造と物性の相関を明らかにする。
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Causes of Carryover |
27年度は,試薬や溶媒の使用をかなり節約した結果,未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度は,さらに多くの化合物を合成する必要があることから,27年度の未使用額を28年度分の予算と合わせて,合成試薬や溶媒等の消耗品の購入に充てたい。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] A Series of π-Extended Thiadiazoles Fused with Electron-Donating Heteroaromatic Moieties: Syntheses, Properties, and Polymorphic Crystals2015
Author(s)
S.-i. Kato, T. Furuya, M. Nitani, N. Hasebe, Y. Ie, Y. Aso, T. Yoshihara, S. Tobita, Y. Nakamura
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Journal Title
Chemistry A European Journal
Volume: 21
Pages: 3115-3125
DOI
Peer Reviewed
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