2016 Fiscal Year Research-status Report
新規三脚型四座配位子を有する金属錯体を用いた小分子活性化反応の開発
Project/Area Number |
15K05417
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
武田 亘弘 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (80304731)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 三脚型四座配位子 / シリル配位子 / チオエーテル / ヒドロシリル化 / イリジウム / ロジウム / 触媒 / 選択性 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の実施状況報告書において申請者らは,SiS3型新規三脚型四座配位子 (L1 = Si(C6H4-2-CH2S-i-Pr)3)を有するヒドリドイリジウム錯体がフェニルアセチレンのヒドロシランを用いたヒドロシリル化反応の触媒として働き,対応するZ-アルケンを90%以上の高い選択性で与えることを報告した。本年度は配位子L1のi-Pr基をt-Bu基に置き換えた配位子L2を有するイリジウム錯体[IrH(L2)]BF4 (L2 = Si(C6H4-2-CH2S-t-Bu)3) (1)を触媒として用いて同様のヒドロシリル化反応を検討した。その結果,反応の進行が遅くなるとともに,Z-アルケン,Z-PhHC=CHSiR3 (Z-2)が主生成物として得られたものの,選択性が下がることがわかった。一方,SiS3型配位子前駆体HSi(C6H4-2-S-i-Pr)3) (L3-H)と[RhCl(cod)]2とを反応させたところ,ロジウム錯体[RhCl(η3-C8H13)(L3)] (L3 = Si(C6H4-2-S-i-Pr)3) (3)が得られた。ロジウム錯体(3)を触媒として用いて同様のヒドロシリル化反応を行ったところ,室温ではIr錯体の場合と同様に90%の選択性でZ-アルケン(Z-2)が生成するのに対し,50 °Cでは選択性が逆転して,91%の選択性でE-アルケン(E-2)が生成することがわかった。このロジウム錯体(3)を用いた触媒反応において,温度により主生成物を作り分けることができたことは興味深い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
期待していた,新規SiS3型三脚型四座配位子を有するイリジウム錯体やロジウム錯体を用いたN2, CO2, O2などの小分子の活性化反応を見出すことはできなかったが,これらの研究を進める中で,イリジウム錯体やロジウム錯体を触媒として用いたアルキンの選択的ヒドロシリル化反応を見出すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,これまでに見出したイリジウム錯体やロジウム錯体を触媒として用いたアルキンの選択的ヒドロシリル化反応に関して,さらに研究を進める。また,既に合成しているPS3型三脚型四座配位子を有するジメチルパラジウム錯体やルテニウム錯体,11族金属錯体の小分子活性化能や触媒能についても検討を行う。さらに,SiS3型及びPS3型三脚型四座配位子を有する新規な反応活性錯体の合成とその小分子活性化能や触媒能についても検討する。
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Research Products
(17 results)