2017 Fiscal Year Research-status Report
レドックス活性オリゴピロールのキロプティカル特性と不斉触媒機能
Project/Area Number |
15K05424
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
瀬恒 潤一郎 神戸大学, 理学研究科, 名誉教授 (10117997)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | らせん不斉 / ヘリケート / オリゴピロール / 円偏光 / 酸化還元 / キロプティカル特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
長いπ電子共役系を有する化合物は可視部から近赤外部に至る長波長領域に強い光吸収帯を有しており、光機能物質として重要である。特に、一方向らせんが誘起されたπ電子共役系はその光吸収帯に対応する波長領域での強いキロプティカル特性が期待され、円偏光に基づく新しい光機能材料として有用であるが、そのような例は極めて限られている。 平成29年度では本研究の母体化合物であるヘキサピロール-α,ω-ジイミン金属錯体の可逆的酸化還元に伴うスペクトル変化についてスペクトロエレクトロケミストリーを用いる再検討を行い、その酸化体が1000~2000nmに及ぶ近赤外領域に強い吸収帯を持つことを明らかにした。それらのUV-NIRスペクトルとCDスペクトルは計算化学によるシミュレーションにより検証し、特徴ある一方向らせん構造に由来するエレクトロクロミズム物性を創出することができた。一方、2,3-位、あるいは、2,5-位にOH基を有する1,4-ベンゼンスペーサーはそれ自体で酸化還元活性を有しているが、これらのスペーサーをオリゴピロールのπ電子共役系に組み込んだヘキサピロール-α,ω-ジイミン誘導体の合成をほぼ完了し、それらの金属錯体の立体化学を明らかにした。2,3-位置換誘導体ではクローズ型のラセン構造、2,5-位置換誘導体ではオープン型のラセン構造が安定であり、光学活性アミンとの反応で得られたα,ω-ジイミン金属錯体ではラセン方向も含めて完全な立体制御が可能であることを立証した。特に、用いる光学活性アミンの種類により、それらの立体化学が大きく影響を受けることは、光機能のファインチューニンを可能とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの研究成果として、母体のヘキサピロール金属錯体(1)、酸化還元活性芳香環スペーサーをパイ共役系に組み込んだヘキサピロール金属錯体(2)のコンフォメーション制御とキロプティカル特性について明らかにしてきた。前者(1)ではスペクトル特性の再検討により、重要な知見を新たに見出したことで論文投稿が少し遅れている。また、後者の化合物(2)では合成実験に少し手間取っていたが、ようやく測定に供することのできるサンプルを得たところである。
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Strategy for Future Research Activity |
母体のヘキサピロール金属錯体の研究成果については新しいデータを組み込んでできるだけ早期に論文投稿する。また、酸化還元活性芳香環スペーサーをパイ共役系に組み込んだヘキサピロール金属錯体についてはスペクトロエレクトロケミストリーを駆使して、酸化還元に伴う長波長領域での光吸収帯、および、キロプティカル特性の変化を明らかにする。これらの結果を総合して、立体構造と酸化還元活性、スペクトル特性との関係を明らかにして、キロプティカルスイッチとしての評価を行い論文にまとめる。
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Causes of Carryover |
本研究課題で得られた成果についての講演を2箇所の国際会議から依頼されたのが2017年度前期であったため、その時点で研究プロジェクトを一年延長して、2018年5月(アメリカ)と7月(ドイツ)の国際会議出席のための経費を繰り越すことにした。 2018年度は実験に必要な消耗品に加えて、上記の旅費、および、大型機器使用料や電子ジャーナルなどのデータベース使用料などの経費を支出する計画である。
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Research Products
(5 results)