2017 Fiscal Year Research-status Report
カルバゾール骨格を組み込んだポルフィリン多量体の構築
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15K05427
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
前田 千尋 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (80581371)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ポルフィリン / カルバゾール / 近赤外吸収 / BODIPY / 固体発光 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポルフィリンは広いパイ共役系を有する大環状化合物であり、可視領域に強い吸収帯を示す色素である。一方で芳香環の縮環により共役系が拡張したポルフィリンは、吸収が長波長シフトすることで近赤外領域での吸収が可能である。近赤外光は人体に無害であることから光線力学療法への応用が期待されている。カルバゾールがベンゾ縮環したピロールであることに着目し、我々はカルバゾールを出発物質として新規な縮環ポルフィリノイドの開発に成功した。このカルバゾールポルフィリンは4つのベンゾ縮環のため強い近赤外吸収を示す。本研究ではカルバゾールを組込んだ新規ポルフィリノイドやその多量体を合成することを目的としている。 本年度は含カルバゾールイソフロリンのパラジウム錯体を合成し、芳香族性と近赤外吸収特性について調査した。3種類のパラジウム錯体を合成し、構造をX線結晶構造解析により明らかにした。結晶パッキングにおいて積層構造を形成することを確認した。これらは反芳香族性ポルフィリノイドに特徴的な弱い近赤外吸収を溶液中で示した。さらに固体では分子間相互作用により比較的強いで近赤外吸収を示した。この結果はChemPlusChemに掲載された。また固体発光を示すカルバゾールBODIPYの開発も行っており、ホウ素上の置換基効果および二量化における光物性の変化について明らかにした。これらの結果はそれぞれOrg. Biomol. Chem.に掲載されInside Cover Pictureとして採用された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は含カルバゾールイソフロリンの研究結果がChemPlusChemに掲載された。また固体発光を示すカルバゾールBODIPYの開発も順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに開発したカルバゾールBODIPYに関する学会発表・論文発表を行う。
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Causes of Carryover |
ほぼ計画通りに予算を使用したが、繰越金が発生した。基金のため繰越金を0円にする調整をしなかった。 残額は学会発表や論文発表のための経費として使用する予定である。
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Research Products
(13 results)