2015 Fiscal Year Research-status Report
密度汎関数法に基づいた配座解析による有機分子触媒の合理的設計
Project/Area Number |
15K05431
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
蒲池 高志 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (40403951)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 配座解析 / 有機分子触媒 / 遷移状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機分子触媒は金属元素を含まない炭素,酸素,窒素などの典型元素から構成された触媒である.有毒な重金属の残留の心配がなく,レアメタルの高騰,枯渇などの社会的問題に対応する元素戦略の観点からも理想的な触媒である.しかしながら,この触媒反応では水素結合やファンデルワールス力といった弱い相互作用で選択性が制御されており,その合理的な設計は困難である.我々は密度汎関数法(DFT)に基づく配座解析法を提案しており、複雑な有機分子触媒の反応機構の解明に有効であることを示した.この方法ではモンテカルロ法と分子力学法(MM, OPLS2005)による構造最適化から数千から数万の初期構造を生成し,これを半経験的分子軌道法(semiempirical, PM6-DH+)により数百にまで絞り込む.これらの構造すべてについて,計算コストが高くなるが精度の高い量子化学計算(DFT, B97-D)により構造最適化および遷移状態探索を行うことで,エナンチオ選択性の理解に重要な遷移状態の最安定構造を決定することができる.しかしこの方法では計算コストの高いDFT計算を多用することに加えて,MM計算の精度が低いために安定構造を見落としてしまうことが問題であった.DFT計算で決定された上位5配座は半経験的分子軌道法で得られた上位の低エネルギー配座に対応しているが,MM計算では11.5 kcal/molのエネルギーをもつ205番目の配座まで考慮する必要がある.そこで本研究では信頼性の高い半経験的分子軌道法を用いた配座解析プログラムConFinderを開発し,有機分子触媒の反応機構の解明が短時間で精度良く行えることを見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、有機分子触媒の反応機構解析のために、高精度な配座解析を高速に行うための手法開発を予定していた。当該年度において、信頼性の高い半経験的分子軌道法を用いた配座解析プログラムConFinderを開発し,有機分子触媒の反応機構の解明が短時間で精度良く行えることを見出した.このプログラムを用いることで、丸岡触媒、キラルリン酸、シンコナアルカロイドといった代表的な有機分子触媒について、過去に報告された構造を2,3日と短期間で精度よく再現するとともに、これまで見落とされていたより安定な配座を 発見することができた。これらの結果は有機分子触媒の高速なin silicoスクリーニングを期待させ、想定以上の成果と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに信頼性の高い半経験的分子軌道法を用いた配座解析プログラムConFinderを開発した。今後は、未だ反応機構が知られていない有用な有機分子触媒について、このプログラムを用いた解析を行うとともに、実験グループとエナンチオ選択性の改善を目指した研究を行う。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] Synthesis and Structure of a Water-soluble μ-η1:η1-N2 Dinuclear RuII Complex with a Polyamine Ligand2016
Author(s)
K. Yoshimoto, T. Yatabe, T. Matsumoto, A. Robertson, H. Nakai, H. Tanaka, T. Kamachi, Y. Shiota, K. Yoshizawa, K. Asazawa, H. Tanaka, Seiji Ogo
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Journal Title
Chemistry Letters
Volume: 45
Pages: 149-151
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Assembling an alkyl rotor to access abrupt and reversible crystalline deformation of a cobalt(II) complex2015
Author(s)
S.-Q. Su, T. Kamachi, Z.-S. Yao, Y.-G. Huang, Y. Shiota, K. Yoshizawa, N. Azuma, Y. Miyazaki, M. Nakano, G. Maruta, S. Takeda, S. Kang, S. Kanegawa, O. Sato
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 6
Pages: 8810
DOI
Peer Reviewed
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