2017 Fiscal Year Annual Research Report
Ordered Arrangement and Function of Supramolecular Complexes Composed of Self-Assembling Porphyrins and Fullerenes
Project/Area Number |
15K05432
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷 文都 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (80281195)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ポルフィリン / フラーレン / 光励起 / 一重項酸素 / 電荷分離状態 / 太陽電池 / 酸化チタン / 電子移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
フェノチアジン架橋の環状ポルフィリン二量体とC60やPCBMとの複合体を光励起すると、フェノチアジンからフラーレンへの電子移動が生じ、フェノチアジンのカチオンラジカルとフラーレンのアニオンラジカルからなる電荷分離状態が生成した。この電荷分離状態は、ポルフィリン、フラーレン、フェノチアジンの励起三重項状態よりもエネルギーが低いため、三重項経由の減衰が起きず、また、スピン状態が三重項のため、基底一重項状態への減衰がスピン禁制となるため、きわめて長い寿命(0.7ミリ秒)を持っていた。 ピリジル基を有する環状ポルフィリン二量体とその二量体がフラーレンC60を包接した複合体を透明電極上の酸化チタン薄膜に固定化した色素増感型太陽電池の特性を評価した。ピリジル基によって、二量体は高密度に酸化チタン表面に固定化され、この密度は従来のピリジル基含有色素の値を大きく凌駕していた。光電変換特性の評価では、フェノチアジン架橋二量体の方がジアセチレン架橋二量体よりも優れていた。また、二量体単独とフラーレン複合体を比較すると、いずれの二量体においても、二量体単独の方が光電変換特性が優れていた。複合体の場合、ポルフィリンとフラーレンの間で光誘起電子移動および逆電子移動が起きるため、ポルフィリンから酸化チタンへの電子注入の効率が低下すると考えられる。 上記のポルフィリン二量体とそのC60複合体の一重項酸素発生能力を評価するため、一重項酸素発生の量子効率および発生速度を測定した。一重項酸素発生の量子効率は、環状ポルフィリン二量体については62%、複合体については52%であった。複合体の一重項酸素発生の量子効率が環状ポルフィリン二量体よりも低い理由は光励起後にC60アニオンラジカルーポルフィリンカチオンラジカルの電荷分離状態が生成し、ポルフィリンの三重項励起状態の生成効率が低下するからであると考えられる。
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[Journal Article] Synthesis of ordered carbonaceous frameworks from organic crystals2017
Author(s)
H. Nishihara, T. Hirota, K. Matsuura, M. Ohwada., N. Hoshino., T. Akutagawa., T. Higuchi., H. Jinnai., Y. Koseki., H. Kasai., Y. Matsuo., J. Maruyama., Y. Hayasaka., H. Konaka., Y. Yamada., S. Yamaguchi., K. Kamiya., T. Kamimura., H. Nobukuni., F. Tani
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Journal Title
Nature Commun.
Volume: 8
Pages: 109
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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