2018 Fiscal Year Research-status Report
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15K05467
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| Research Institution | Tohoku University |
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Principal Investigator |
加藤 恵一 東北大学, 理学研究科, 助教 (80374742)
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2015-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | 単分子磁石 / フラーレン / カーボンナノチューブ / 磁気異方性 / 磁化緩和時間 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、単分子磁石(SMM)-ナノカーボン材料ハイブリット化合物を合成し、その構造と物性の関係について明らかにし、分子スピントロニクス材料の可能性を探る。
平成３０年度は、ポルフィリン系TbトリプルデッカーSMM錯体(1)とC60の１：１錯体（2）について低温における磁化緩和特性について詳細に調べた。SMM錯体(1)と錯体２では磁化緩和挙動が1.8 Kにおいて異なっていることが磁化緩和時間の温度変化から明らかになった。これはX線構造解析から明らかなように、中心金属Tbイオンの配位環境が異なるため、配位子場が変化し、磁気特性の変化したと考えられる。
また、SMMを示すDy内包フラーレン(DySc2N@C80)を単層カーボンナノチューブ（CNT）に内包した化合物は、1.8 Kで明確な保持力を示すことが磁化曲線から明らかとなった。CNT内包後において保持が大きく変化したことから、CNT内でDySc2N@C80が一次元的に配列したことによる磁気的相互作用による効果とDySc2N@C80とCNT間の電荷移動相互作用による配位環境の変化が影響していると考えられる。
以上低温における磁気特性について詳細に調べ、磁化緩和挙動ならびにその機構について温度依存性と磁場依存性から明らかにした。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポルフィリン配位子をゆうするホスト型希土類SMMの配位環境を各種フラーレンを用いて変化させることに成功している。これは磁気異方性をゲスト分子によって制御することを意味している。また、各種SMMをカーボンナノチューブに内包させることにも成功しており、磁気特性並びに電子状態についても研究を進めている。低温における磁気特性の解析から、磁化緩和機構についても明らかになりつつある。また、SMM内包CNTについては、電気伝導特性ならびに磁気抵抗効果測定についても取り組んでいる。
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| Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、C80ゲージを有する二核Dy錯体Dy2ScN@C80内包CNTを合成し、単核DySc2N@C80との比較を行う。Dy2ScN@C80はDySc2N@C80に比べSMM特性が優れていることが知られており、CNT内包前後における磁気特性の変化を調べる予定である。これまでに合成した化合物については、磁気・伝導・光物性について引き続き研究を進めていく。また、進展状況に応じてデバイス作製とその評価を行う。
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| Causes of Carryover |
研究計画に従い合成試薬の購入を予定していたが、前年度購入した試薬で賄うことが可能であった。またガラス器具など消耗品として使用する予定であったが、研究遂行に支障がないため購入しなかった。さらに、参加学会が地元開催であったため旅費の使用額が減った。次年度は引き続き測定と合成を行う予定であり、学会参加費などに使用する予定である。
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