2015 Fiscal Year Research-status Report
ケイ素の特性を活かした、革新的3次元モノマー合成と次世代高機能材料への応用
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15K05470
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
海野 雅史 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (20251126)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | シロキサン / ケイ素材料 / クロスカップリング反応 / フルオロシラン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は2年目として、種々の3次元モノマーの合成を計画していたが、以下のように順調に進行している。 (1)2種類の置換基を有するかご状シルセスキオキサン(Janus Cube)合成:これまで、クロロシランを原料としてJanus Cubeを収率よく合成することはできなかったが、本年度新たに合成したフルオロシランをシラノールのナトリウム塩と反応させることで、簡便に目的物を合成することができ、その構造をX線結晶解析で初めて決定することができた。まずは、置換基としては分離しやすいフェニル基とイソブチル基を用いたが、同じ方法で、本申請で目的としているビニル基を含む化合物も合成可能であり、現在検討中である。 (2)延長環状かご状シルセスキオキサンの合成(Extended Janus):本研究で提案した環状置換基を有するかご状シルセスキオキサン(Spider)の合成研究の検討過程において、新たに合成に成功した化合物である。環状シラノールの置換基を延長し、末端をクロロシランとした上で、異なる置換基を有する環状シラノールを反応させ、8員環と12員環ののシロキサン環を有するかご状シロキサン(Extended Janus)の合成に成功した。本化合物は骨格としても初めての合成例であり、かご状シルセスキオキサンの安定性を有しつつ、大きな空孔を有しており、ホスト化合物、反応場化合物など、様々な応用が期待できる。Janus Cube同様、2種類の置換基を対面に有しており、今後反応性の置換基を導入することを検討する。 また、これ以外に、提案しているAsura(3種類の置換基を有するかご状ヘキサシルセスキオキサン)の合成についても前駆体までの合成が完了した。今後条件を検討し、目的物を得る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本申請で提案した、反応性モノマーの合成研究のうち、初年度で検討した(1)モノマー合成の基礎技術確立、(2)Jelly Fishの合成 についてはいずれも成功し、関連論文3報(うち2報は出版済み)として報告した。また、2年目以降の計画において、合成を目的としているEagle、Janus cube、Spider、Asuraについても、Janus cubeについては、新規合成法を開拓することできわめて簡便に合成できるようになり、Asuraについても、初年度に見出した合成法を適用することで、目的物まであと2ステップとなっている。Spiderについては、引き続き研究を行っているところであるが、その過程において、新たな骨格であるExtended Janusを合成することができた。 以上のように、当初計画していた内容に加え、新たな骨格を合成することもできており、当初の計画以上に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
Janus Cubeについて、簡便な合成法を見出しことができたため、本申請で提案しているビニル基と水酸基を有する化合物だけではなく、さらに多様な置換基を有する化合物の合成についても取り組む。また、予定にはなかったExtended Janusを合成することができたため、こちらについても、多彩な置換基の導入を検討する。 合成に関しては順調に進行しているため、物性の測定についても、詳細に検討する予定であり、耐熱性、誘電率、屈折率などの諸物性に関して、たとえばLED封止材への応用が可能かどうかなど、具体的な材料への展開を見すえ、研究を進めていく予定である。
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Research Products
(10 results)