2016 Fiscal Year Research-status Report
ケイ素の特性を活かした、革新的3次元モノマー合成と次世代高機能材料への応用
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15K05470
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
海野 雅史 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (20251126)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | シロキサン / ケイ素材料 / クロスカップリング反応 / シルセスキオキサン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は計画に従い、反応性置換基を有するクロスラダーシロキサン(Eagle)の合成検討、反応性置換基を有する第二世代Janus Cubeの合成、かご型ヘキサシルセスキオキサン骨格を有するAsuraの合成検討を行った。 (1)クロスラダーシロキサン(Eagle)の合成:計画書に示した方法に従い、市販のPh2SiCl2の加水分解・脱水縮合により環状シロキサン(Ph2SiO)4を合成し、塩化アルミニウム/塩化水素で脱フェニル塩素化をすることでオクタクロロ体へと変換した。続いて別途合成したジイソプロピルジフェニルフェニルジシロキサンジオールと反応させて、目的とするクロスラダーシロキサンを合成した。収率は67%であった。今後ビニル基などの反応性置換基を導入していく予定である。 (2)第二世代Janus Cubeの合成:昨年度はフッ化シランを用いた新しい合成法を開発することによりJanus Cubeの簡便合成ならびに初めてのX線構造解析に成功したが、今年度は反応性の置換基を有するJanus Cube(第二世代)の合成を行った。第一世代のJanus Cubeの合成法では、SiH部位を持った前駆体の合成が行えなかったため、あらたに環状シラノールを出発物とし、置換基を伸長した後に、かごの下部分を環形成する方法を開発した。これにより、9%の収率で、イソブチル基とSi-H部位を対面に有するJanus Cubeを合成することができた。今後は酸化によってSi-H部位をSi-OHに変換し、無機結合部位と有機結合部位を対面に有するJanus Cube合成を試みる。 (3)かご型ヘキサシルセスキオキサン(Asura)の合成検討:Janus Cubeは、ケイ素を8個有し、立方体に近い骨格を有するシルセスキオキサンであるが、ケイ素を6個有するヘキサシルセスキオキサンの合成研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度以降の計画としては、クロスラダーシロキサンと反応性置換基を有するJanus Cube、ケイ素を6個有するヘキサシルセスキオキサンの合成を上げたが、いずれも骨格の合成には成功している。クロスラダーシロキサンは合成法を確立することができたため、今後原料にビニル基やスチリル基の反応性有機基を含むものを合成することで、目的物が得られると考えている。またかご型ヘキサシルセスキオキサンについても、簡便な合成法を開発できており、2種類の異なった置換基を導入することができた。今後最終年度で、原料の置換基を変更し、目的物の合成を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
Janus Cubeについては、昨年度当初計画に含まれていなかった、より大きな骨格を有する第三世代Janus Cubeの合成に成功したので、今後さらに発展させて種々の大きさ、空孔径を有するJanus Cubeあるいは対称型のシルセスキオキサン合成を試みたい。かご型ヘキサシルセスキオキサンについては、3種の置換基を有するAsuraの合成を試みると同時に、骨格に反応性をもたせ、開環反応により新たな構造を有する化合物の合成も行っていきたい。 並行して生成物の物性、特に耐熱性と誘電率、屈折率などの、材料として有用かどうかの指標となるものについても可能な限り測定し、実用化を検討する。
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Research Products
(14 results)