2016 Fiscal Year Research-status Report
機能性分子を組み合わせた新しいパイ共役分子システム
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15K05471
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小川 和也 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (50335486)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | カルバゾール / 発光材料 / π共役系 |
Outline of Annual Research Achievements |
28年度は新規発光材料の設計指針を明確にするために、環形成効果による光特性への影響を解明した。紫外領域に強い発光性を示すカルバゾールを用いて、ブタジインで連結したカルバゾールオリゴマーを合成し、その光特性変化を考察した。カルバゾールの直鎖状3量体、4量体と環状分子3量体、4量体、5量体を合成することによって、環形成効果に対する光特性の影響を調査した。本研究は合成と同時に量子化学計算を行うことによって、今後、理論レベルでの蛍光スペクトルの予測に大きく役立つと考えている。また、一番重要な点はガウシアンで平面環状分子と計算された環状3量体、4量体は直鎖状分子と異なり、大きなストークスシフトをし、強い青色発光を示しことである。このことは環形成によって通常もたらせるπ共役系の拡張によるレッドシフトとは異なるアプローチから発光強度の強い波長帯を変えることができることを示唆しており、強発光性材料を設計するうえでの新たな指針となる。 また、派生的に生じたエレクトロクロミック材料の研究において、酸化反応に伴うスペクトル変化の原因をDFT計算からアプローチした。その結果、クープマンズの法則にしたがい、一電子を失うことでHOMO-LUMO間のエネルギー差が狭くなることがわかった。このことがスペクトル変化に関係していることが示唆され、酸化還元による色の変化を理論的に予測できるようになれば材料開発の際の設計に大いに役立つ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
赤色発光を目指していたシアニン色素については分離精製が困難であると判断し、色にこだわらずに二光子発光材料の開発を進めており、上述の通り二光子発光材料の設計指針を明確に示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
発光波長の制御、二光子吸収効率の向上を目指す。具体的にはカルバゾールとポルフィリンの複合化、フルオレンを用いた大きなパイ系の構築である。また、派生研究としてエレクトロクロミック材料にも興味深い知見が得られたためこちらも展開していく。
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Remarks |
http://nerdb-re.yamanashi.ac.jp/Profiles/337/0033664/profile.html
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