2015 Fiscal Year Research-status Report
ゲル化に伴い接着能、及びコーティング能を発現する機能性有機材料の創製
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15K05480
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
柘植 顕彦 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (80179986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 充 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (10313199)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ゲル / シクロファン / 分子認識 / 蛍光発光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、しなやかでやわらかいというゲルの特性が三次元網目構造に基づくこと、また、自然界において、これと類似した網目構造が、ムール貝やウルシが示す強力かつ安定な接着効果、あるいはコーティング効果に寄与していることに着目し、接着能、あるいはコーティング能を有するゲル化剤の創製を目的とした。特に、ゲル形成による体積膨張という特性に着目して研究を進める。すなわち、体積膨張に伴い接着能やコーティング能が発現する非常にユニークな機能性材料を開発する。また、シクロファン型ゲル化剤では、これまで報告例のない加熱することによるゲル化を目指しており、この特性と接着能やコーティング能を併せ持つ機能性材料の構築も行う。 これまでに、コンフォメーション変化に基づく動的特性と特異的なπ電子相互作用を示すメタシクロファン型ゲル化剤の開発を行った。また、蛍光部位としても働くクマリン骨格に水素結合部位と長鎖アルキル基を導入した化合物の合成を行い、それらのゲル化挙動、および発光特性を明らかにした。 ここではアルキル部位の結合位置の異なるクマリン誘導体を合成し、それぞれのゲル化挙動を検討した。3本の長鎖アルキル基を持ちシクロファン分子の架橋部分に二つのウレア化合物を有する化合物を合成した。この化合物は、DMSO中でゲル化が認められた。このゲルにフッ素アニオンを加えた場合のみ、ゲルの崩壊が認められた。これは、ウレア部分にフッ素アニオンが水素結合を介して結合することで、分子間の水素結合が切断されたことによると考えられる。さらにメタノールを加えるとゲルが再生することもわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規ゲル化剤として、接着能と密接に関係していることがわかっているカテコール部位を基盤としたゲル化剤の合成(アミド体とウレア体)を行い、その評価を行っている。その結果、(アミド体)はベンゼン、トルエンでゲルを形成し、(ウレア体)ではトルエンでゲルを形成することがわかった。 また、架橋鎖部位にウレア基を有する三本鎖型シクロファンゲル化剤の合成も行い、そのゲル特性も明らかにしている。
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Strategy for Future Research Activity |
グルタミン酸骨格を基盤とし、フェロセン部位を有する酸化還元応答型のゲル化剤の合成および評価を行う予定である。 さらに、ウレア基を有するユウロピウム錯体の構築も進め、金属固有の特性を生かしたゲル化剤の開発を検討する。 また、これらのコーティング特性についても明らかにする。
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Causes of Carryover |
目的化合物合成に必要な試薬が予定より少量で行えた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
目的化合物合成に必要な試薬購入に使用
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Research Products
(7 results)