2016 Fiscal Year Research-status Report
側鎖を有するテトラセンの分子配列ライブラリーの構築と特異な固体光物性の探索
Project/Area Number |
15K05482
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
北村 千寿 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (60295748)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | テトラセン / 側鎖 / 固体色調 / 分子配列 / 分子間相互作用 / X線結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
テトラセン母骨格に側鎖を導入するとの固体状態の光物性が側鎖の長さや位置や形状により変化することを見出し、この機構の解明に向けて新しい分子配列を作り出すため、新しい置換様式として、テトラセンの内部ベンゼン環に置換基をもつテトラセン誘導体の合成を行った。当初の予定としてテトラセンの5,11位に置換基を導入する計画を立てていたが困難であることがわかり、代わりにテトラセンの5,12位に置換基をもつテトラセンの合成に成功した。5,12-テトラセンキノンとアセチリドとの反応を利用して、テトラセンの5,12位に炭素の個数が偶数のアルキニル基(C6H9, C8H13, C10H17)の導入を行った。いずれもトルエンやヘキサンなどの有機溶媒に可溶な物質であった。溶液中ではアルキニル基の長さにかかわらずほぼ同じ光物性を示した。蛍光量子収率は0.1付近であった。固体の反射スペクトルの測定を行うとC6H9のアルキニル基の方が、C8H13とC10H17体に比べやや濃い赤色をしていた。C8H13とC10H17体のX線結晶構造を行い、分子構造と分子配列を調べた。アルキニル基中のアルキル配座が異なること、および、テトラセン部位間の距離が7.6-8.4Åと離れ、分子間の相互作用がかなり弱いことが予測された。C6H9体の結晶は得られなかったが、固体中ではC6H9体のテトラセン間の分子間距離が近くなっており、分子間相互作用が働いて色が濃くなっていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した目的分子の合成はうまく行えなかったが、アルキル基に代わりアルキニル基をもつ分子の合成に成功し、学会発表で成果を報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
テトラセンの内側のベンゼン環にアルキニル基を有する化合物のアルキル部分の長さを変えて合成を行い、固体状態の光物性および分子配列について調べる。新しい置換様式や共役骨格をもつ分子の合成の可能性について検討を行う。分子配列がわかったものに対してはDFT計算により分子間相互作用を調査する。
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[Journal Article] 3,4-Bis(4-formylphenyl)-17,17-di(n-pentyl)tetrabenzo[a,c,g,i]fluorene showing solvatochromism and crystallochromism in fluorescence2017
Author(s)
Masanari Ueki, Yusuke Kimura, Yuma Yamamoto, Chitoshi Kitamura, Hiroshi Ikeda, Mirai Tanaka, Jun-ichi Nishida, and Takeshi Kawase
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Journal Title
Tetrahedron
Volume: 73
Pages: 1170-1176
DOI
Peer Reviewed
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