2015 Fiscal Year Research-status Report
実用的高速不斉付加反応のためのキラルマグネシウム及びアルミニウム触媒の開発
Project/Area Number |
15K05500
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
原田 俊郎 京都工芸繊維大学, その他部局等, 教授 (30135628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠川 隆博 京都工芸繊維大学, その他部局等, 准教授 (70300720)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 不斉触媒 / 不斉合成 / 不斉付加反応 / 合成化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
不斉合成反応が工業レベルで実用化されるためには、高エナンチオ選択性のみならず低触媒量での高速反応の実現が不可欠である。このような背景から、Grignard反応剤やビニルアルミニウム反応剤などの高反応性を有する汎用有機金属反応剤が直接使用でき、低触媒量で高速に進行する実用的なケトンやアルデヒドへの触媒的不斉付加反応の開発目指し研究を実施した。 キラルアルミニウム触媒の探査: 本研究計画の基礎となったチタン反応剤の不斉付加の触媒探査において合成した多数の軸不斉配位子を保有している。これらストック配位子を用いて高活性アルミニウム触媒を探査した。その結果、3位にかさ高い置換基を有するH8-BINOL誘導体より調製されるアルミニウム錯体が比較的高い性能を有することが明らかになった。これらのキラル配位子を用いて、反応溶媒、温度、滴下法等の反応条件の最適化を検討した結果、5 mol%の触媒量で80% ee程度のエナンチオ選択性が得られることが明らかとなった。 キラルマグネシウム触媒の探査: 直接付加の速度が比較的遅いケトンを基質に選択し、数種の軸不斉ビアリールジオール配位子にGrignard反応剤を作用させて調製したマグネシウム錯体とp-ブロモアセトフェノンの化学量論反応を実施したところ、エナンチオ選択性が発現することを確認した。比較的高い選択性を示したキラル配位子について、触媒量5 mol %でのエナンチオ選択性を調べたところ、直接的なラセミ体形成反応による選択性の低下が認められたが、ある程度の選択性で不斉触媒反応が進行することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
キラルアルミニウム触媒の探査に関しては、平成28年度の実施を予定していた、ビニルアルミニウム反応剤のアルデヒドへの触媒的不斉付加におけるアルデヒドへの適用範囲についても検討できた。一方、キラルマグネシウム触媒の探査に関しては、反応条件の最適化が完全に終了していない段階であり、計画に若干の遅れがある。
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Strategy for Future Research Activity |
ビニルアルミニウム反応剤のアルデヒドへの触媒的不斉付加に関しては、適用可能な末端アルキンの適用範囲を調査したのちに研究成果を取りまとめて発表する予定である。Grignard反応剤の直接不斉付加反応に関しては、キラル配位子の再調査並びに反応条件の精査を実施する計画である。これらにあわせて、温度可変NMR解析により触媒活性種に想定される金属錯体の溶液中での構造解析を実施する予定である。
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Research Products
(4 results)