2015 Fiscal Year Research-status Report
第1遷移金属触媒による有機ハロゲンからの多置換オレフィン合成
Project/Area Number |
15K05502
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
米山 公啓 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80432681)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 第一遷移金属触媒 / コバルト / ニッケル / アルキン / ビスベンジル化反応 / スタニル化反応 / ホウ素化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機ELや有機半導体などの機能性有機材料や、医薬品や農薬などの生理活性物質に代表される有用化合物の創成において、多置換オレフィンは化合物の機能や特性を決定づける上で大きな役割を担っている。したがって、従来の有機合成化学的手法では不可能であった形式による選択的かつ効率的多置換オレフィン合成法の開発は、有機合成化学における大いなる挑戦であるとともに、オレフィン構造に由来する新たな機能や特性を発現する機能性有機材料や生理活性物質などの新規標的化合物の設計・合成を可能にするものである。さらに、近年の省資源化の観点から上記の合成法開発には、第一遷移金属触媒などのユビキタスな金属触媒の特性を利用した新たな合成経路開発が求められる。 申請者は、コバルトやニッケル触媒の「有機ハロゲン分子との反応性(酸化的付加・還元的脱離)」や「炭素-炭素不飽和結合との親和性(カルボメタル化反応)」および「求電子剤との反応性(酸化的付加・還元的脱離および求電子置換反応)」を活用し、入手容易な原料や触媒から位置・立体選択的に多置換オレフィンを作り出す手法の開発に取り組んだ。その結果、ベンジルハロゲン化物の低原子価コバルトへの酸化的付加とアルキン挿入、再度の酸化的付加工程を経ることで、2つの炭素―炭素結合の形成を伴うビスベンジル化反応が高効率的に進行することを見出した。また、本多置換オレフィン合成の多様化を図るべく、ニッケル触媒やコバルト/クロム触媒システムを活用した有機ハロゲン化合物のスタニル化反応やホウ素化反応の開発にも着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおりに研究成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者はこれまでにコバルトおよびニッケル触媒の酸化還元能と炭素-炭素不飽和結合種との高い親和性を活用した様々な有機ハロゲン化物の化学変換反応を開発した。この開発過程で、従来では求核剤と求電子剤のカップリング反応が進行する反応系において、コバルトやニッケル触媒のアルキンとの高い反応性を利用することで、カルボメタル化反応を介した3成分連結反応が進行することを見出した。以降の研究では、これらの知見をより複雑な3成分カップリング反応に応用し、多様な多置換オレフィン合成へと課題を展開させる。
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