2016 Fiscal Year Research-status Report
脱水素反応によるケイ素・ホウ素含有芳香族複素環化合物の効率的な実用的合成法の開発
Project/Area Number |
15K05505
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
土本 晃久 明治大学, 理工学部, 専任教授 (80313716)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ルイス酸 / 亜鉛 / 脱水素カップリング / 複素環 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度末において,インドール類の脱水素 N-シリル化と C-シリル化に関して,研究成果の取りまとめを行い,これをアメリカ化学会の査読付き論文誌に Full Article として投稿したが,特に,N-シリル化の基質の適用範囲と反応機構に対する議論が不十分とのことで,残念ながら論文受理には至らなかった。そこで,平成28年度は,reviewers からの上記コメントに対応するための対策を行った。 まず,N-シリル化に関しては,検討対象の基質を大幅に拡大した。具体的には,6-ベンジルオキシインドール,3-アセチルオキシインドール,4-ヒドロキシインドール,3-(1-ヒドロキシ-2-エチル)インドール,5-アミノインドール,5-(2,5-ジメチル-1-ピロリル)インドール,2-(2-ベンゾフラニル)インドール,5-フルオロインドール,5-クロロインドールといった,多くのインドール基質に加えて,3-ヘプチルピロールや 2-(4-フルオロフェニル)ピロールといったピロール誘導体のほか,8-ブロモベンゾ[c]カルバゾールについても検討を行い,いずれの場合も,良好な収率で生成物を得ることに成功した。以上の基質は,いずれも,芳香環の一つの元素として取り込まれている窒素原子を脱水素シリル化するものであるが,アニリン誘導体のように,上記のカテゴリーには含まれない化合物,すなわち,アニリン,3,5-ジトリフルオロメチルアニリン,N-フェニルアニリンの脱水素 N-シリル化も,首尾よく進行することを新たに見つけた。 反応機構に関する追加の実験としては,2,3-ジメチルインドールとジフェニルメチルシランの反応の速度論実験を,Zn(OTf)2 とピリジン存在下にプロピオニトリル溶媒中でおこない,反応機構に対する多くの有益な情報を得た。現在,これらの成果をまとめての論文投稿の直前段階にある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要のところでも記載したが,論文の再投稿のために,基質の大幅な拡大に対する実験と反応機構に対する議論を深めるための実験に対して,予想以上の時間を費やしたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
本方法論の一般性を高めるために,求核剤の方は,インドール,ピロール,カルバゾールやアニリン以外に,また,求電子剤の方は,ヒドロシラン以外の基質を利用しての脱水素カップリングの実現を引き続き目指す。
|
Causes of Carryover |
平成27年度より継続して行っている,インドールの脱水素シリル化をとりまとめるための実験の遂行に主に従事したことで,実施を予定していた,左記以外の反応を実行できなかったことから,新しい化合物の購入費用としての経費がかからなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
インドールの脱水シリル化の研究に関しては,早々に研究の成果を取りまとめることで,この反応以外の研究を積極的に展開し,様々な基質・化合物の購入費用として研究費を使用する。
|
Research Products
(3 results)