2015 Fiscal Year Research-status Report
多置換オレフィン類の立体補完的パラレル合成反応開発と特異分子合成への応用
Project/Area Number |
15K05508
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
田辺 陽 関西学院大学, 理工学部, 教授 (30236666)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 立体選択的合成 / 多置換オレフィン / プロセス化学 / 立体補完的合成 / パラレル合成 / 医薬 / トシル化 / クロスカップリング |
Outline of Annual Research Achievements |
「多置換オレフィン類の立体補完的パラレル合成反応開発と特異分子合成への応用」を目指す.(E)-, (Z)-の立体が固定した多置換オレフィンは,有機合成上極めて重要な合成素子である.そのため各種合成法が報告されているが,(E)-, (Z)-パラレル合成は稀有といって良い.当研究室ではすでに萌芽となる実用的な三置換α,β-不飽和エステルの (E)-, (Z)-立体補完的合成法を報告している(SYNFACTS に採用). 今申請では,同一の入手容易なβ-オキソエステル(β-ケトエステルおよびα-ホルミルエステル)からプロセス化学を志向したパラレル手法による三・四置換 (E)-,(Z)-α,β-不飽和エステルの合成方法論を開拓する.市販でないβ-オキソエステルの調整には,独自のTi-Claisen 縮合などを駆使する. 合成法は2段階からなる. 1. β-オキソエステルの (E)-, (Z)-立体補完的エノールスルホニル化にて (E)-, (Z)-エノールスルホナートに導く. 2.得られた (E)-, (Z)-エノールスルホナートをパートナーとして,主に立体保持鈴木・宮浦および根岸クロスカップリングにて (E)-, (Z)-三・四置換α,β-不飽和エステルを得るものである.エノールスルホナートと類型のエノールホスホナートを経由する方法も比較検討する. 2015年度は,各種 (E)-, (Z)-三置換α,β-不飽和エステルの基質一般性を確立し,その応用として三置換オレフィンである SSRI医薬Zimelidineの分割法によらない初の (E)-, (Z)-立体補完的パラレル合成に成功した(論文掲載済み).さらに,エノールホスホナートを経由する方法にて各種 (E)-, (Z)-四置換α,β-不飽和エステルの基質一般性の高い方法論も確立し,制癌剤Tamoxifen の(E)-, (Z)-立体補完的形式合成にも成功した(論文掲載済み).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当研究室では一貫して,市販または独自のTi-Claisen 縮合にて調整容易なβ-オキソエステル(β-ケトエステルおよびα-ホルミルエステル)を基質とする独自反応を開発中である.「研究実績の概要」で述べたように,本課題に関し2つのフルペーパーを公表した. 現在,幾つかの展開を図り,以下の興味ある進展を見ている. (1) 現在の外部公表時点では,エノールホスホナート経由法がエノールトシラート経由法に比べ優れていると見なせる.これは論文発表の時系列からも判断される.(2) ところが実のところ,エノールトシラートはエノールホスホナートよりもクロスカップリングパートナーとして優れている.すなわち反応性,アトムエコノミー,調整反応剤の価格・安全性の多面においてである.しかし調整法に難があった.(3) そこで,エノールトシラートの調整法を回帰的に再検討し,十分実用的な方法を見出した(近日投稿予定).(4) 最終目標である (E)-, (Z)-四置換α,β-不飽和エステルのパラレル合成において,多くの実施例を提出し基質一般性を高め,ユーザーフレンドリーな方法論を提示する方針である(別途論文作成準備中).
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Strategy for Future Research Activity |
以下の具体的目標を掲げ,それらを推進する. (1) 代表的反応に関し,Organic Synthesis 誌への掲載を目指す(現在,アクセプト後,チェッカー審査段階).プロセス化学指向合成を目指し,四置換オレフィンのプローブである制癌剤Tamoxifen の初のパラレル合成において,短段階・最高通算収率を達成する(上述の論文作成準備中). (2) 容易に調整可能な α-クロロ-β-ケトエステルも簡便に立体補完的エノールトシラート,さらにはエノールホスホナートに変換可能である.これらを基質とする逐次段階的クロスカップリングとパラレル合成を目指す.すでに萌芽的結果を得ている. (3) さらに「シクロファン」,「おもしろ有機分子」「テトラ・ヘキサエンイン機能性分子」の合成への応用展開も同時に検討する.
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Causes of Carryover |
試薬の少額の出費が必要となった. その分「その他」の経費が減額した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
合成実験に充当する.
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Research Products
(17 results)
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[Journal Article] (E)-, (Z)-Parallel Preparative Methods for Stereodefined β,β-Diaryl- and α,β-Diaryl-α,β-unsaturated Esters: Application to Stereocomplementary Concise Synthesis of Zimelidine2015
Author(s)
Yuichiro Ashida, Yuka Sato, Takeyuki Suzuki, Kanako Ueno, Ken-ichiro Kai, Hidefumi, Nakatsuji, Yoo Tanabe
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Journal Title
Chem. Eur. J.
Volume: 21
Pages: 5934-5945
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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