2016 Fiscal Year Research-status Report
フルオロフィリック効果を秩序構造形成の駆動力とする含フッ素n型導電性高分子の合成
Project/Area Number |
15K05513
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
福元 博基 茨城大学, 工学部, 准教授 (70313369)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | π共役高分子 / オクタフルオロシクロペンテン / フルオロフィリック効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、環状ペルフルオロアルキル基の「フルオロフィリック」効果と多環π共役系の「π-πスタッキング」の相乗効果を秩序構造形成の駆動力とする、全く新しいタイプの含フッ素n型導電性高分子材料の高効率合成を目指す。 具体的には(1)オクタフルオロシクロペンテン(OFCP)のビスアリール化によるジアリールエテン誘導体の合成、(2)光照射下でのScholl反応による含フッ素多環芳香族モノマーの合成、(3)クロスカップリングを中心とする含フッ素n型導電性高分子の合成、(4)固体中における含フッ素n型導電性高分子の基本的な化学的・物理的性質の解明、(5)含フッ素n型導電性高分子の自己集積化(高秩序構造形成)と電子・光特性との関連性、について順次行う。 平成28年度は平成27年度に実施した計画(1)(2)で得られた成果に基づいて計画(3)を行った。具体的には含フッ素フェナントレン、フェナントロリン誘導体をモノマーとするπ共役高分子の合成をクロスカップリングにより行った。合成したπ共役高分子のうち、特に剛直なπ共役高分子については顕著な秩序構造を形成していることを粉末X線回折により明らかにした。すなわち、π共役高分子に特有な隣接高分子鎖との間に生じるπ-π相互作用だけでなく、フッ素原子間相互作用も協同的に働いていることが示唆され、計画(4)(5)で行う含フッ素n型導電性高分子の基本的な化学的・物理的性質と関連性を調べる上での大きな推進力となると考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度初めに今年度の計画として引き続き計画(1)(2)(含フッ素多環芳香族化合物の合成)を実施するとともに計画(3)(含フッ素多環芳香族化合物の高分子化)を進めていくことを挙げた。予定通り、含フッ素フェナントレン、フェナントロリンのπ共役高分子を合成することができたので、順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は計画(3)(含フッ素多環芳香族化合物の高分子化)に加えて(4)固体中における含フッ素n型導電性高分子の基本的な化学的・物理的性質の解明、(5)含フッ素n型導電性高分子の自己集積化(高秩序構造形成)と電子・光特性との関連性にも着手し、本研究全体の最終目的への到達を目指す。
|
Causes of Carryover |
28年度は試薬などの物品費が予定よりも低く抑えられたこと、27年度に使用した人件費を28年度では使用しなかったことが主な要因である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度の早い時期に試薬などの消耗品として使用する計画である。
|
Research Products
(2 results)