2015 Fiscal Year Research-status Report
電気泳動する非イオン性高分子の設計とメカニズムの解明
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15K05515
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
高須 昭則 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30303697)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 電気泳動 / ポリエステル / スルホニル基 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究室で合成したポリ(エステル-スルホン)を良溶媒であるN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)に溶かし、そこに貧溶媒を添加しポリマーの分散液を得た。貧溶媒として用いたのはn-ブタノール(n-BuOH), メタノール(MeOH), エタノール(EtOH), ジエチレングリコール(DEG)およびジエチレングリコールジメチルエーテル(Diglyme)であり、溶媒の混合比を変えて分散液を調製した。得られた分散液にステンレス板を挿し込み電場を印加してEPDを行ったところ、すべての系でポリ(エステル-スルホン)がAnode選択的に電気泳動した。またそれぞれのゼータ電位の値とEPDの結果を比較し、電気泳動に与える影響を考察した。その結果、アルコールの種類によりゼータ電位、堆積量、初期電流値が変化することがわかった。特にDMF/MeOH=2/2(v/v)におけるサンプルでAnodeへの堆積量が多く、厚い膜を得ることができた。 また良溶媒としてジメチルスルホキシド(DMSO),ジメチルアセトアミド(DMAc)を用いて同様にEPDを行ったが、全てのサンプルにおいてAnode選択性を示した。しかし良溶媒の種類によっては堆積膜にひびが入りやすいなどの変化があったため、その原因を今後検討する必要がある。 次に貧溶媒としてDEG とDiglymeを用いEPDを行ったところ、DEGを用いたとき、Diglymeを用いた場合よりもAnodeへの堆積量が明らかに多いことが確認できた。この結果からアルコールなどのプロトン性の溶媒がその電気泳動性を高めていることがわかった。 これらの結果から、貧溶媒であるアルコールがイオン-双極子相互作用により部分的に電離して電気二重層を形成し、すべり面の電荷の符号が泳動する方向を決定すると考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アノード(+)選択的な電気泳動挙動に必要な構造因子の決定と電気泳動メカニズムの二つを主に明らかにすることが出来た。研究成果は学術論文3編と著書1編に研究成果をまとめることができ、A-STEPなどのフィージビリチィースタディーのフェーズまで展開できた。
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Strategy for Future Research Activity |
計画書に従い、アノード(+)選択的な電気泳動挙動に必要な構造因子の決定と傾斜材料への応用展開を模索する。
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Causes of Carryover |
装置購入を次年度に見送った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度と同様の実験計画に加え、装置購入を検討し、研究の迅速な遂行を図る。
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Research Products
(17 results)