2015 Fiscal Year Research-status Report
2回らせん空間群を有するキノイド系結晶の固相重合を利用した光学活性ポリマーの創製
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15K05518
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
伊藤 敬人 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90126954)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | キノイド系結晶 / 固相重合 / 2回らせん結晶 / 光学活性ポリマー / 結晶構造解析 / 結晶工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
P21空間群の置換キノジメタン(1a:R=R=R=Me,R=Et)の再結晶をクロロホルム/ヘキサン混合溶媒の比率を変えて行う事でキラル結晶を得ることができた。また、より効果的な右結晶と左結晶の作りわけは、この混合溶媒に少量のキラル溶媒を添加することで可能であった。右結晶と左結晶の区別は単離した結晶の単結晶線構造解析を行う事で決定することができた。 ハロゲン相互作用を期待して分子内にハロゲンの一つを有する非対称置換キノジメタン(2a-c:R=R=R=Me,R=CH2CH2X(X=F(a),Cl(b),Br(c)))を合成することを試み成功した。合成物の再結晶を種々の条件下で検討し、X線構造解析可能な結晶を得ることを試みたが、塩素を有する置換キノジメタン(2b)は、構造解析可能なサイズの結晶を得ることはできなかった。一方、フッ素(2a)と臭素(2c)を有する置換キノジメタンでは、単結晶構造解析可能な結晶を得た。フッ素原子を有する結晶はP-1で臭素原子を有する結晶はP21/cであり、両結晶ともP21の結晶ではなかった。ハロゲン原子により結晶構造が大きく変化しておりハロゲン原子間の相互作用が大きく影響していることが分かった。 2a-cについて光固相重合を検討した。2aはF-Fの相互作用が強く分子が動きにくく固相重合が進行しなかった。2bは結晶構造は未確定であるが、光固相重合が進行しなかったことから固相重合の進行に適した結晶構造を形成していないことが推測される。2cはBr-Br相互作用が強く、かつサイズが大きいことにより、二分子が対となる結晶構造を形成しているためシクロファン化合物が主に生成することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に1)置換キノジメタンの合成と結晶構造解析は計画通り進行しているが、P21空間群の結晶を見つける分子設計指針が得られていない。2)P21空間群のキラル結晶の作成とキャラクタリゼーションは右結晶と左結晶を作り分ける手法は確立し、結晶構造解析からそれらの構造を確定した。今後、結晶の円二色性(CD)の測定を行う予定である。3)キラル結晶を用いた固相重合反応は新規にハロゲンを有する非対称置換キノジメタン化合物の合成に成功し、それらの光固相重合を検討しており計画通りに進行している。したがって、おおむね順調に進行していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
置換キノイド化合物の一つである非対称置換キノンメチド化合物や置換キノンメチドイミン化合物に着目し、それら化合物の新規合成と結晶構造解析を行いP21空間群の結晶を見出す。それら結晶のキャラクタリゼーションによりキラル結晶の作りわけと円二色性(CD)の測定を検討する。また、それら結晶の固相重合を行う事でトポケミカル的に重合が進行する系を見出すとともにP21結晶を得る分子設計指針を得る。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] Thermal Solid-State Polymerization of 7,7,8,8-Tetrakis(aryloxycarbonyl)quinodimethanes2016
Author(s)
Hiroto Nakajima, Erica Morita, Ryouhei Takakura, Takahiro Uno, Masataka Kubo, Takahito Itoh, Norimitsu Tohnai, Mikiji Miyata
Organizer
3rd International Conference on Chemical Innovation (ICCI2016)
Place of Presentation
Tati University College, Malaysia
Year and Date
2016-08-06 – 2016-08-07
Int'l Joint Research
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