2015 Fiscal Year Research-status Report
生体試料のマイクロチップ電気泳動分析における超高感度化技術の開発
Project/Area Number |
15K05527
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
北川 文彦 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (20362452)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 分離分析 / チップ分析 / 電気泳動分析 / オンライン試料濃縮 / 高感度 |
Outline of Annual Research Achievements |
チャネル全体に注入した試料溶液を濃縮 (LVSEP法) したうえで,試料リザーバーから目的成分を供給しながら濃縮を行うマイクロチップ電気泳動分析において,濃縮に影響を及ぼす因子である電気浸透流速度の安定性を向上させるため,真空乾燥法によるポリビニルアルコール修飾について最適化を行ったところ,EOF速度を+8.1×10-5 cm2V-1s-1まで抑制し,その相対標準偏差も2.3%に向上させることに成功した。さらに真空乾燥後に加熱乾燥を組み合わせることで,EOFは+7.0×10-5とさらに抑制され,RSDも1.1%とさらに向上できることが明らかとなった。 このPVA修飾を施したマイクロチップにおける濃縮位置の制御について検討を行ったところ,試料リザーバーに印加する圧力が重要であることが確認された。12 kPaの圧力印加時にちょうどクロス部の位置で濃縮が進行することがわかったが,濃縮率は2000倍程度に留まったのに対し,15 kPa印加時にはクロス部よりも50 μmほど検出側の位置で濃縮が進行し,濃縮率は5000倍ほどまで増加した。これは,濃縮位置をクロス部としてしまうと,泳動液リザーバーからの流れの影響を大きく受け,濃縮された試料が希釈されてしまい,濃縮率が低下してしまったものと考えられる。また,電圧プログラムも分析性能に大きく影響し,最適化することで濃縮率を6000倍までに,泳動時間のRSDを11%から1.2%までに向上することに成功した。さらに試料リザーバー直径を4.0 mmから6.0 mmにして,注入できる試料成分量を増加させたところ,濃縮率をさらに8100倍までに向上させることができた。従来のLVSEP法における濃縮に比しても60倍の高感度化を達成しており,生体試料の超高感度MCE分析の基盤となる技術を確立できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施計画に記載した濃縮位置の制御,真空乾燥ポリマー修飾の最適化,濃縮条件の最適化のいずれも順調に進展しているため
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り,真空乾燥ポリマー修飾の応用範囲拡張ならびに生体成分のMCE分析への応用を目指して研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた高速CCDカメラのデモ機を試用したところ,感度が不十分だったため購入を見送ったことにより残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
CCDカメラの購入に予定していた予算により,マイクロチップ作製のための卓上真空プラズマ装置を購入する。
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