2016 Fiscal Year Research-status Report
ナノホール型フィルター電極を用いるマルチバイオセンシングシステムの開発
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15K05528
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
水口 仁志 徳島大学, 大学院理工学研究部, 講師 (30333991)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 電気分析 / バイオセンサー / トラックエッチ膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,トラックエッチドメンブレンフィルターを鋳型とする多孔質フィルター電極を用いる新しい集積型バイオセンサを提案することである。これは,厚さ約10マイクロメートルの当該フィルターに化学めっきと電気めっきを併用して作製した金電極の表面に,種々の分子認識機能を有する官能基で修飾したのちに,これを複数枚重ねて集積化するものである。 平成28年度は,前年度までに作製した金電極のキャラクタリゼーションと,引き続きこの金電極の表面修飾について検討を行った。走査型電子顕微鏡を用いた表面観察では微細な粒子が凝集した様子が観測された。また断面写真からは,フィルターの細孔内部まで金で覆われた多孔性電極の構造が確認された。サイクリックボルタンメトリーでは,表面積の大きさに起因して,通常の平板電極よりも大きなファラデー電流が観測された。一方,作製した金電極の表面を1-オクタデカンチオールで処理することでフェロシアン酸イオンのアノード酸化が遮蔽されることや,アルキルフェロセン類の修飾による酸化還元電流も確認された。さらにこれらの特性は,作製した電極を複数枚積層させた電極システムにおいても独立した動作として確認された。上記の試験結果は,分子認識機能を有する官能基の導入によって,本研究の当初目標であるマルチバイオセンシングシステムを実証するための重要な基礎となるものであり,引き続き次年度において検討を行うこととしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,前年度までに作製した多孔質電極のキャラクタリゼーションと表面修飾による機能化について検討を行い,当初目標を達成するための基礎的知見を得たことから,概ね計画通りに進展したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き,標的分子を認識するための修飾方法の確立とセンサとしての動作確認を通して,当初目標であるセンサーシステムの実証を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度における消耗品購入に係る支出が年初計画よりも少額であったことにより,次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は,前年度残額を含めて薬品・消耗品の購入および学会発表旅費として使用する計画である。
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