2015 Fiscal Year Research-status Report
構造色変化に基づく生体分子のウェアラブルセンサーの開発
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15K05534
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
菅野 憲 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 助教 (60466795)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バイオセンサー / ウェアラブルセンサー / 逆オパール構造高分子ゲル / 構造色変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
逆オパール構造(IOS)高分子ゲルの構造色変化に基づくウェアラブルなステロイドホルモンセンサーを開発する。具体的には,アクリルアミド系モノマーにステロイドホルモンとその受容体タンパク質を化学的に結合させる。これらの化学修飾モノマーを重合させ,受容体-リガンドが架橋点となるIOS高分子ゲルを作製する。この高分子ゲルが試料中のステロイドホルモンを認識すると,競争的にゲル中の受容体と架橋点を形成し,ゲルは膨潤する。この高分子ゲルの膨張による構造色変化を指標としたステロイドホルモンセンサーを開発する。開発したステロイドホルモンセンサーを生きたマウス個体の皮下に埋め込み,照射した近赤外光の吸光度変化を指標として,生体内のステロイドホルモンを連続的にリアルタイム検出できることを実証する。 平成27年度は,IOS構造を有する高分子ゲルおよびステロイドホルモン受容体の合成に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は,IOS構造を有する高分子ゲルおよびステロイドホルモン受容体の合成に取り組んだ。 IOSを有する高分子の簡便な合成法は,(1)粒径のそろったポリスチレンビーズを用い,最密充填型コロイド結晶を調製する,(2)結晶間隙に高分子のモノマー溶液を浸透させて重合させる,(3)高分子中のポリスチレンビーズをクロロホルムで処理して除く,の3段階からなる。同一素材であれば細孔の径がIOS高分子の構造色決定に重要であることが知られている。直径230 nm程度のビーズを鋳型に用い,生体組織を透過しやすい近赤外領域の範囲内で構造色が変化するIOSゲルの調製法の確立に取り組んだ。 これに加え,ステロイドホルモン受容体であるエストロゲン受容体およびプロゲステロン受容体のリガンド結合ドメイン(ER-LBDおよびPR-LBD)をコードするcDNAを,組換えタンパク質合成のためのベクターに遺伝子工学的手法により組み込んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,セミ相互侵入高分子網目を有するステロイドホルモン受容体-ステロイドホルモンを架橋点としたIOS高分子ゲルの合成を行う。また,ステロイドホルモンを認識して膨潤するゲルを内容するIOSポリスチレン(IOS-PS)の作製および機能検証を行う。 平成29年度は,前年度までに調製したIOS高分子ゲルおよびIOS-PSが,試料中のステロイドホルモン濃度を長期間連続的にin vitro/in vivo半定量解析できるかを検証する。
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Causes of Carryover |
交付申請時において,トミー精工「中型恒温振とう培養機 バイオシェーカー(BR-43FL・MR)」(980千円)を計上していた。購入にあたり取引代理店に見積もりを依頼したところ,東京理化器械「振盪機用低温恒温チャンバー FMC-100」,同「マルチシェーカー MMS-310」,同「スプリング式万能振動台 MMS TRAYS」を個別に購入して組み合わせることで,先のバイオシェーカーと同等の機能を得られることが判明した。結果,約400千円の出費が抑えられた。 また,平成27年度は100千円の旅費を計上していたが,急遽,学外広報業務を遂行する必要が生じたため,参加を予定していた学会(日本分析化学会第64年会,福岡市)への出席を断念した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
IOS高分子ゲルの調製において,想定していた必要量以上のポリスチレンビーズ(Polybead Polystyrene Microspheres (2.5% Solids-Latex), 0.20μm(1×32千円),Polysciences Inc.)が必要であることが判明した。そこで,平成28年度以降のポリスチレンビーズの追加購入に充てる予定である。
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