2016 Fiscal Year Research-status Report
短波長光を活用したSPR-蛍光近接場断層イメージング法の創製
Project/Area Number |
15K05535
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
鈴木 正康 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (70226554)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バイオセンサ / 表面プラズモン共鳴センサ / 近接場イメージング / 計測工学 / 細胞イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の研究によりSPR(表面プラズモン共鳴)吸収とSPEF(表面プラズモン増強蛍光)の同時測定が可能となり、SPR吸収が最大となった入射角付近で蛍光も最大となるという結果が得られた。しかしSPEFによる蛍光は極めて微弱であり、SPEFではなく単に励起光を観測していた可能性も否定できなかった。そこで短波長光源でも感度の高いアルミ基板を用いてSPEF測定の検証を行った。直径6μmの蛍光微粒子(ex.512nm em.554nm)を用いてSPEF測定を行ったところ、505nmの光源ではSPR角付近で蛍光ピークが見られたが、660nmの光源ではSPR角付近でも蛍光はほとんど見られなかった。銀基板では505nmの光源ではSPR角が測定範囲外となったが、この時505nmの光源でも蛍光は見られなかった。以上のことから確かにSPRのエネルギーで蛍光が励起されていることが示された。このように浸透深さが大で、短波長光源でもSPR測定ができるアルミ基板を用いてSPEFが測定できた。 次に溶液中でも使用できるようにアルミ基板上にアルミナ膜を形成したセンサチップを開発した。449nmに励起ピークを有し、500nm 程度でも励起されるルテニウム錯体を含むナフィオン膜をセンサ基板上に形成し、505nmの光源を用いて SPR-SPEF 同時測定を行った。ルテニウム錯体を含まないナフィオン膜では SPR 、SPEF共、入射角 51.0°でピークとなったが、ルテニウム錯体を含むナフィオン膜では SPR 角は52.4°、SPEF の最大値は 51.5°で得られ、ルテニウム 錯体の有無による SPEFの増大も見られた。このようにアルミ-アルミナ基板でもSPR-SPEF 同時計測に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度の研究においてSPR吸収が最大となった入射角付近で蛍光も最大となるという結果が得られた。しかしSPEFによる蛍光は極めて微弱であり、励起光と蛍光の波長の重なりもあることからSPEFではなく単に励起光を見ている可能性も否定できなかった。本年度は得られる蛍光が励起光ではなく確かにSPEFによるものであることを証明するために多くの時間を費やしたために計画していた実験の一部を遂行することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度の研究により確かにSPEFが観測出来ていることが確認でき、アルミ-アルミナ膜の開発により短波長光源使用時のSPEFの高感度化にも成功した。しかし一層のSPEF強度の増強が必要であり、29年度はそのための新しいセンサ基板の開発にまず取り組む。そしてSPEFの高感度化を図り、当初の研究計画で予定されているモデル実験材料及び接着性培養細胞のSPR-蛍光同時計測近接場断層イメージングの実現のための研究を遂行する。
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