2016 Fiscal Year Research-status Report
ポリイミドを出発物質とした新規表面多孔性分離媒体の創製
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15K05537
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
齊戸 美弘 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00303701)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ポリイミド / 表面多孔性粒子 / 抽出媒体 / 試料前処理 / 分離媒体 / クロマトグラフィー / 微量分離分析 / 環境分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、各種ポリイミドの合成条件を最適化することにより、粒径が均一な各種球状ポリイミド微粒子の合成方法を確立し、このポリイミド微粒子の試料前処理媒体ならびに分離媒体としての応用を検討することを主たる目的としている。本研究2年目である平成28年度は、当初の研究計画に沿って、ポリイミド被覆粒子の合成条件の評価ならびにその試料前処理媒体としての基本性能を中心に検討した。
1 [架橋型ポリイミドの導入] 前年度の結果を受けて、最適なポリイミド骨格構造を決定するとともに、各種架橋反応を導入することにより、更なる耐熱性・耐薬品性を有する網目状ポリイミドを合成した。 2 [ポリイミド被覆微粒子の開発と抽出性能評価] 抽出媒体として期待できる化学構造を有する架橋ポリイミドを、コアとなる微粒子表面に被覆することにより、ポリイミド被覆粒子を作製した。また、抽出媒体としての性能を維持したまま、効率よく薄膜状に被覆し得る作製条件を確認するとともに、その抽出選択性と微粒子構造(膜厚、粒子径、コア粒子の材料等)について系統的に検討し、条件の最適化を行った。 3 [クロマトグラフィー固定相としての可能性評価] ポリイミド被覆微粒子を液体クロマトグラフィーならびにガスクロマトグラフィーの分離固定相としても使用し、その分離選択性とポリイミド化学構造との関係について検討するとともに、従来の固定相との差異について確認した。合成したポリイミド被覆微粒子の化学構造・粒子径・粒子形状等と、有機溶媒中での使用ならびに高温条件下での長時間使用における耐久性についても検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでの本研究の進捗状況は順調である。研究計画に従って、最も一般的であり、かつ有機溶媒あるいは高温条件でも安定してその化学構造を長期間維持できると想定されたポリイミド(PMDA-ODA)を合成し、その後、架橋構造を有する化学構造へ展開し、表面被覆型のポリイミド粒子を作製した。重合条件等の検討を行うとともに、実際に合成したポリイミド被覆微粒子の耐熱性・耐薬品性および機械的強度等についても確認した。その結果、本研究で想定している抽出条件ならびにその後の脱着条件下では、十分な耐久性を有するポリイミド被覆微粒子の合成を確認した。また、モデル試料として導入した各種化学構造ならびに物性を有する芳香族化合物群に対する、抽出性能についても確認し、合成したポリイミド被覆微粒子が希薄な水試料に含まれる微量有機化合物の抽出および回収に利用できることが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画最終年度である次年度も、当初の研究計画に沿って研究を推進する。特に、シリカゲル等のコアとなる粒子表面にポリイミドを重合させながら被覆し、ポリイミド被覆微粒子を合成した後に、加熱処理等によって表面の化学構造を変化させることを試みる。試料前処理法における抽出媒体としての応用、また、液体クロマトグラフィーならびにガスクロマトグラフィーの固定相としての応用も想定して抽出性能ならびに分離性能評価についても継続して検討する。
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Research Products
(9 results)