2015 Fiscal Year Research-status Report
表面プラズモン励起増強蛍光を用いたピペットチップ型腫瘍マーカーイムノセンサの構築
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15K05540
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高野 恵里 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 学術研究員 (20634645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田和 圭子 関西学院大学, 理工学部, 教授 (80344109)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | イムノセンサ / 腫瘍マーカー / 表面プラズモン励起増強蛍光 / バイオナノカプセル / サンドイッチアッセイ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、表面プラズモン励起による蛍光増強可能な波長オーダーの周期構造をもつ格子結合型プラズモニック微小反応板を内部に組み込むようデザインされたピペットチップ(SPF-反応板内蔵チップ)を用いて、反応・吸着・洗浄・蛍光測定までを自動で行う「ピペットチップ型腫瘍マーカーイムノセンサ」を構築する。 本年度は、まず、周期構造を持たないガラスの微小反応板を用い、ピペットチップ型イムノセンサ用の、検出器を搭載した自動分注ロボットにて、サンドイッチアッセイを行った。捕捉抗体を化学結合にて反応板表面に固定化し、蛍光標識抗体を検出抗体として標的分子であるα-fetoprotein (AFP)の検出を行ったところ、0-500ng/mlの濃度範囲にて定量可能であり、50ng/mlまでのAFPの蛍光検出が可能であることを確認した。 次に、ピペットチップ型イムノセンサ用の微小反応板を2次元周期構造を持つプラズモニックチップ化した。ナノインプリント用モールドにて、光インプリント法により微小反応板表面上に二次元周期構造を作製した。この微小反応板上にプラズモン励起用金属としてAg、保護層としてSiO2を成膜し、プラズモニック微小反応板を得た。得られたプラズモニック微小反応板の表面構造は原子間力顕微鏡(AFM) 及び走査型電子顕微鏡にて観察し、周期構造の構築と成膜ができていることを確認した。モデル化合物としてビオチンをチップ表面に修飾し、蛍光標識ストレプトアビジンを吸着させて蛍光測定を行ったところ、周期構造を有する場合には、周期構造がないものと比較し約10倍の蛍光増強が得られることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ピペットチップ型イムノセンサ用の、検出器を搭載した自動分注ロボットにて、サンドイッチアッセイを行うことが可能であることを確認できた。また、イムノセンサ用の微小反応板上に周期構造を持たせ、プラズモニックチップ化することに成功しており、このプラズモニック化微小反応板を用いて、検出器を搭載した自動分注ロボットにて反応板表面の蛍光測定を行うことが可能、かつプラズモニックチップ化による蛍光増強を確認できている。現在、表面プラズモン共鳴(SPR)測定装置によりBNCを介した捕捉抗体固定化による検出感度向上の効果について検討しており、この検討で得られた知見をプラズモニックチップ化反応板での検出条件に移行することで検出条件の最適化を迅速に行うことが可能であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
プラズモニックチップ化反応板での検出条件について検討を行い、サンドイッチアッセイの最適化について進める。 プラズモニックチップ化していない反応板および、バイオナノカプセル(BNC)を介さず抗体を固定化した基板も作製し、プラズモニックチップ化による蛍光増強効果、およびBNCによる捕捉抗体の配向固定化による効果について検証する。また、検出用2次抗体のラベル化に際し、銀のプラズモン吸収波長と異なる領域に蛍光波長をもつCy5を用い、過剰なシグナルによるバックグラウンドを低減したうえで、かつ高感度にAFPを定量するのに適するCy5のラベル化法、ラベル化率について検討する。また、ラベル化二次抗体の非特異的吸着由来によるバックグラウンドが高感度検出の妨げとなる場合については、アビジンビオチンシステムを利用する方法についても検討する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、調達方法の工夫などにより、当初計画より試薬購入費や国内学会発表の際の旅費など、経費の節約ができたためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度における使用計画としては、腫瘍マーカー、抗体、蛍光色素試薬およびガラス器具などの消耗品をの購入に充てる。基板に1次抗体を固定化するためのバイオナノカプセル、腫瘍マーカー、抗体、蛍光検出のための蛍光ラベル化剤を購入する。28年度においてはサンドイッチアッセイの条件最適化のため、標的腫瘍マーカーおよび抗体の使用頻度が高くなるため、主としてこれらの試薬の購入に1,000千円を計上している。
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