2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K05542
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
宗 伸明 佐賀大学, 農学部, 教授 (90336008)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 無機ナノシート / 酵素 / 蛍光 / バイオ材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに、ユウロピウムをドープした蛍光性無機ナノシート(Eu-TiOx)と西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)の複合体を構築し、この複合体が生体分子の一種である過酸化水素の検出に有用であることを確認した。そこで、本年度は、新たにグルコースオキシダーゼ(GOx)を導入した新規複合体を構築し、これを用いたグルコースの検出について検討を行った。 まず、前年度と同様の手法によりEu-TiOxを合成した。次に、HRPとGOxをEu-TiOxと弱酸性溶液下において混合したところ、粉末が析出し、Eu-TiOx/HRP/GOx複合体が形成されたことが確認できた。得られたEu-TiOx/HRP/GOx複合体に対し、発色基質であるグアイアコールの存在下においてグルコースを添加し、蛍光分析を行った。その結果、添加に伴い500~600nm付近における蛍光ピークの強度が減少することが確認できた。これは、GOxの酵素反応によりグルコースから過酸化水素が発生し、次にHRPの酵素反応によりグアイアコールから発色体が生成したことによるものと考えられる。また、この蛍光強度の減少は、添加したグルコース濃度と相関があることも確認できた。このことから、Eu-TiOx/HRP/GOx複合体は、グルコースを検出するための新規材料として有望であることが示唆された。一方、合成したEu-TiOxを分光蛍光光度計の燐光モードを用いて計測したところ、580nm~640nm付近に特徴的なピークが観測された。これは、燐光モードにより、Eu-TiOx/HRP/GOx複合体を用いた高精度なグルコース検出を行える可能性を示唆するものであり、今後、詳細に検討を進めていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、Eu-TiOx/HRP/GOx複合体の作製と、これを用いたグルコース検出系を構築することを予定していた。研究実績の概要に示したとおり、本年度はEu-TiOx/HRP/GOx複合体の作製に成功し、これを用いたグルコース検出系の構築を行うことができた。従って、現在までの達成度を「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、Eu-TiOx/HRP/GOx複合体を用い、燐光モードに基づくグルコース検出法の開発を目指す。
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Causes of Carryover |
今年度、予定したよりも薬品及びガラス・プラスチック器具の必要量が少なく、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、グルコースオキシダーゼと西洋ワサビペルオキシダーゼを含有した複合体を用いた検出系を構築することを目指す。従って、酵素を含めた生化学試薬を中心に、主に消耗品費として研究費を使用することを予定している。
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