2016 Fiscal Year Research-status Report
低発現量タンパク質の探索を可能とするフォトアフィニティーセレクション法の開発
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15K05559
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
櫻井 香里 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50447512)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | フォトアフィニティーラベリング / 結合タンパク質 / 光反応基 / 金ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
低分子結合タンパク質の合理的な同定法の開発は、有用な生物活性分子の作用メカニズムの解明に向けて最重要課題である。代表的な化学的手法として、アフィニティークロマトグラフィー法とフォトアフィニティーラベリング法が挙げられるが、前者では低発現量の結合タンパク質の単離が困難であり、後者では高発現量の非特異的結合タンパク質が偽陽性検出される問題が古くより未解決である。本研究では、低発現量タンパク質の選択的かつ効率的な捕捉と濃縮精製および簡便な溶出を可能とするため、金ナノ粒子を基盤としたフォトアフィニティープローブの開発を目指した。金ナノ粒子基盤の特性を利用し、結合タンパク質をワンポットでフォトアフィニティーラベリング反応と濃縮精製を行う選択的なタンパク質探索法の確立を目指した。平成28年度においては、前年度に開発した糖鎖リガンドとは異なる低分子性生物活性化合物2種をリガンドとして用いて、種々の光反応基を提示した金ナノ粒子フォトアフィニティープローブの作成方法を確立した。これら低分子金ナノ粒子フォトアフィニティープローブを用いて既知の結合タンパク質を選択的に捕捉し、濃縮精製することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は低分子リガンドとしてhCAII阻害剤であるbenzensulfonamideや抗癌活性天然化合物であるrapamycineをとりあげ、低分子リガンド誘導体および4種の光反応基誘導体をそれぞれ設計・合成し、これらを安定的に金ナノ粒子への固定化する方法を確立し、新規の金ナノ粒子フォトアフィニティープローブの作製に成功した。低分子金ナノ粒子フォトアフィニティープローブを用いて既知の結合タンパク質を効率的に捕捉し、濃縮精製することに成功した。これより次年度の計画の推進に必要な基盤的原理と方法論が確立したため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従い、合成した天然物リガンドを固定化した金ナノ粒子フォトアフィニティープローブの設計とフォトアフィニティーラベリングによる結合タンパク質の検出効率や感度、選択性の関係性についてより詳細な解析を行う。また、特異的に検出されたタンパク質のシークエンスを同定し、新規結合タンパク質については相互作用解析を行い結合特性の検証を行う。
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Causes of Carryover |
前年度からの繰り越し金を、次年度分として計上した生化学解析に関わる物品費用やLC-MS/MSによるタンパク質同定を受託解析する経費として支出することとしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、当該研究計画の実施に際して必要となる試薬や溶媒、研究器具消耗品などの物品費、受託解析経費、研究成果発表のための学会参加費用(その他経費)及び旅費として充当する。
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Research Products
(2 results)