2016 Fiscal Year Research-status Report
酵素-基質複合体誘導によるSer/Thrホスファターゼ基質同定法の開発
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15K05560
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中馬 吉郎 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (40372263)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ホスファターゼ / 酵素 / 触媒機構 / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度はリン酸化ミミックAlF4-を用いたSer/Thrホスファターゼの基質トラップ法の最適化と結合モチーフの同定を行った。昨年度までにAlF4-イオンによる明確な酵素活性阻害が確認されていたSCP1を用いて7残基提示の立体制約型ファージライブラリーから基質モチーフの探索を実施したところ、配列の集積が見られた2種類の結合モチーフを同定した。得られた結合モチーフはSCP1の既知基質と高い相同性を有していたことから、Ser/Thrホスファターゼ基質同定法として有用であることが強く示唆された。本研究成果については現在論文投稿中である。 立体制約型ファージライブラリー確立するため、既知のSer/Thrホスファターゼ結合ペプチドを提示した抗体類似低分子組み換えタンパク質を発現・精製し、実際に標的タンパク質と結合することを確認し、本構造が立体制約型ライブラリーの母体構造として有用であることを確認した。次に本母体構造を有するファージミドライブラリーを作製し、M13ヘルパーファージと大腸菌に共感染することによりファージライブラリーを構築した。現在作製したファージライブラリーを用いて、Ser/Thrホスファターゼ基質モチーフの探索を実施している。 Ser/Thrホスファターゼの基質トラップ型変異体については、合成リン酸化ペプチドを用いた酵素活性測定により、リン酸化基質に対する脱リン酸化活性が失われていることを確認した。ビオチン化したリン酸化ペプチドに対する結合試験により、野生型に比べて基質トラップ変異体に高い結合能が観察されたことから、本変異体が基質トラップ変異体として機能することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
立体制約性ライブライブラリーの有用性、ならびにファージライブラリーの構築することに成功している。また、リン酸化ミミック分子を用いたSer/Thrホスファターゼ基質同定法については、SCP1に対する複数の結合モチーフ同定している。基質トラップ型変異体については、合成ペプチドを用いた結合試験まで終了しており、現在動物細胞を用いた未知の標的タンパク質の探索を実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
基質トラップ型変異体を用いて、細胞内基質の同定を行う。また、作製した独自の立体制約型ファージライブラリーを用いて、Ser/Thrホスファターゼ基質候補ペプチドを同定する。同定したペプチド配列含有タンパク質をタンパク質データベースより探索し、実際に生体内標的分子として機能するかどうか検証する。また、得られた結合配列をもとに、Ser/Thrホスファターゼ阻害剤への展開を行う。これらによりSer/Thrホスファターゼを介した発がんメカニズムの解明を行う。
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Causes of Carryover |
3月納品の試薬支払が4月になったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残額は、平成29年度に速やかに執行される。
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