2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the molecular mechanism in transcriptional regulation by nuclear receptor LRH-1
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15K05578
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
湯本 史明 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特任准教授 (30360150)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 転写因子 / 核内受容体 / X線結晶構造解析 / クライオ電子顕微鏡 / X線小角散乱解析 / 転写因子-DNA相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌は、日本人の死亡原因の第一位であり、発症件数は年々増大の一途をたどっている。現在、これらの癌は死亡率の高いものから肺癌、大腸癌、胃癌、膵臓癌となっている。これらのうち、特に膵臓癌は悪性度が極めて高く、早期の発見も非常に難しいことが知られている。そのような中で、最近、大規模な遺伝子解析、更には膵臓癌細胞の研究から、核内受容体Liver Receptor Homologue-1 (LRH-1)の遺伝子発現制御機構の破綻は膵臓癌に関係していることが示され、創薬ターゲットの一つとして注目されるようになってきた。すなわち、LRH-1の遺伝子発現制御機構を理解し、その機能を抑制する、あるい制御することができれば、膵臓癌に対する創薬において新たな道が拓けるのではないかと期待される。そのためにはLRH-1による遺伝子発現制御機構の正確な理解が欠かせない。そこで本研究では、4つのドメインからなる全長LRH-1がコアクティベーターやDNAに結合した状態として、X線結晶構造解析、X線溶液散乱解析、電子顕微鏡解析を適用することで、立体構造の情報を得ようと試みた。大腸菌による大量発現系を使って全長でのヒトLRH-1分子を大量発現させ、アフィニティーカラムによって精製し、直ちに2重鎖DNAと複合体化させることで、安定な複合体を調製した。さらに、このアフィニティー精製に用いたヒスタグ部分をTEVプロテアーゼによって除去することで、さらに精製度を上げることができた。X線結晶構造解析のための結晶化は困難であったが、X線小角散乱解析、電子顕微鏡により、低解像度であるものの情報が得られるようになった。今後はクライオ電顕を適用することによって、ドメイン間相互作用の分子機構を解明すると共に、新たな創薬ターゲット界面を見出し、LRH-1を対象として、特に膵臓癌に対する分子創薬基盤を構築していきたいと考えている。
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Research Products
(1 results)