2015 Fiscal Year Research-status Report
可視~近赤外域応答型の有機p-n接合体系光触媒システムの開発
Project/Area Number |
15K05595
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
阿部 敏之 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (20312481)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 有機半導体 / p-n接合体 / 光触媒 / 近赤外光 / 可視光 |
Outline of Annual Research Achievements |
「有機半導体」および「p-n接合体」をキーワードとして, 可視~近赤外域の光エネルギーに応答する光触媒材料の探索を行った. まず, n型層としてペリレン誘導体(PTCBI), p型層として鉛フタロシアニン(PbPc)を用いて, ITO基板上に有機p-n接合体を作製した. 上記のITO/PTCBI/PbPcを光電極として適用して光電気化学的に初期評価を行ったところ, K4[Fe(CN)6]存在下で, PbPc表面で上記電子ドナーの酸化に伴う光アノード電流の発生が確認された. 次いで, ITO/PTCBI/PbPcとPt線をそれぞれ酸化サイトおよび還元サイトとして用い, 両者を連結して光触媒システムを構成した. その結果, ITO/PTCBI/PbPc上での[Fe(CN)6]4-の酸化を伴って, 還元的に水素が生じた. 酸化サイトとして各単層(ITO/PTCBIおよびITO/PbPc)を用いた対照実験系では, 水素発生が観察されなかったことから, 有機p-n接合体であるPTCBI/PbPc適用の有効性も確認された. 水素発生量はPTCBI層とPbPc層のそれぞれの厚さに依存し, PTCBI層は190 nm, PbPc層は90 nmが最適値であった. このことから, 両層ともに, p-n界面近傍だけでなく, 同界面から離れた層の光吸収も光触媒反応に寄与していることが示唆された. さらに, 光電流の作用スペクトル測定の結果から, PTCBIとPbPcの両者の吸収に起因して酸化反応が誘起されることが明らかとなった. 可視全域に加えて, 特にPbPcの近赤外域の光吸収が有効に作用していることが確認された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的通り, 可視~近赤外域の光エネルギーに応答する有機p-n接合体系光触媒材料の例を見いだすことができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
可視~近赤外域の光エネルギーに応答する活性な有機p-n接合体材料の探索を一層進め, 可視域のみならず, 近赤外域の光エネルギーの利用が出力上, 有効であることを実証していく. また, 有機p-n接合体を高活性に導くための方策に関する検討も進めたい.
|
Research Products
(1 results)