2016 Fiscal Year Research-status Report
ナノファイバー界面を利用した高速輸送チャネルの構築と水処理膜への応用
Project/Area Number |
15K05621
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 英俊 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (40345393)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 高分子機能材料 / 高分子膜 / ナノファイバー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ナノファイバーをコンポジットした高分子膜において、ナノファイバーの表面化学構造およびコンポジット膜内での分散状態、さらにナノファイバー/高分子界面での水分子の運動性と水透過性との関係を体系的に調べ、ナノファイバー界面を利用した高速輸送チャネル構築を目指した基礎研究を実施する。本年度はカーボンナノファイバーを用いたコンポジット膜の作製と評価を中心に研究を進め、さらにイオン交換ナノファイバーの作製についても検討を行った。 (1)カーボンナノファイバー/高分子コンポジット膜の作製と評価 マトリクス高分子としてポリベンズイミダゾールを用いたコンポジット膜を作製し、透水性を評価した。さらに、高分解能電子顕微鏡観察によるコンポジット膜内でのナノファイバー分散状態の評価と動的粘弾性測定による高分子鎖の運動性の評価を行った。これらの結果から、カーボンナノファイバー充填率と分散状態および透水性の間に明確な相関が見出され、コンポジット膜の透水性向上において、カーボンナノファイバー/高分子マトリクス界面の寄与が大きいことが明らかになった。 (2)イオン交換ナノファイバーの作製 エレクトロスピニングを用いて、イオン性高分子/親水性高分子混合溶液から、イオン性高分子に含まれる荷電基量と紡糸助剤である親水性高分子の添加量を調節することによって繊維径と荷電密度の異なる一連のイオン交換ナノファイバーを作製した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノファイバーコンポジット膜の作製と評価については概ね計画通りに進捗している。本年度はコンポジット膜の透水性向上において、ナノファイバー/高分子マトリクス界面の寄与が大きいことが明らかになった。さらに、界面効果を詳細に検討するためのイオン交換ナノファイバーの作製も進めた。次年度はイオン交換ナノファイバーを利用して界面の効果をより詳細に調査していく。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の検討によって、コンポジット膜の透水性向上において、ナノファイバー/高分子マトリクス界面の寄与が大きいことが明らかになった。次年度はナノファイバー表面に存在する荷電基が透水性に与える影響を詳細に調べることによって、ナノファイバー界面における輸送メカニズムを分子レベルで解明していく。
|
Causes of Carryover |
購入を予定しいた消耗品の納期が年度内に間に合わなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
ナノファイバーおよびマトリクス高分子の原料となる試薬の購入および紡糸装置・製膜装置装置関連の消耗品費を予定している。また、本年度成果の学会発表のための海外旅費、海外の主要ジャーナルへの論文投稿のための論文英文校閲費を予定している。
|
Research Products
(2 results)