2016 Fiscal Year Research-status Report
懸濁液中のマイクロカプセルに対するシェルの力学特性と厚みの非接触同時解析法の開発
Project/Area Number |
15K05627
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
則末 智久 京都工芸繊維大学, 材料化学系, 准教授 (40324719)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高分子材料物性 / 超音波 / 散乱 / マイクロカプセル |
Outline of Annual Research Achievements |
マイクロカプセルは、ドラッグデリバリーシステムや、医療用超音波顕微鏡の造影剤等、様々な用途に用いられている。機能性分子の放出特性や、造影剤の安定性を制御するためには、柔らかいシェル部分の力学物性を、液中非接触で得ることが必要となる。本研究では、超音波散乱法を駆使したマイクロカプセル懸濁溶液の新しい構造・物性研究を展開する。(1)超音波が力学歪みを伝搬する波である事に着目すれば試料の粘性や弾性等の情報を得ることが出来るが、同時に(2)超音波散乱の波動的側面に着目すればミクロ構造に関する情報が得られる。そこで、本研究では(1)と(2)の両方を有する超音波散乱法だから実現する特定部位の力学情報を得る方法論の確立と、刺激応答微粒子を用いた応用研究を行う事を目的とする。
初年度は、モデル中空粒子マイクロカプセルに対する超音波スペクトロスコピー実験を行い、その懸濁液の非接触解析方法を確立した。2年目である平成28年度は、熱に応答するゲル微粒子を用いた応用研究を行った。ポリN-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)は、モノマー内に疏水部と親水部を有するLCST型相図を有する高分子である。メチレンビスアクリルアミドを用いて架橋したPNIPAMハイドロゲルは低温では膨潤状態に、34℃以上の高温では収縮状態にある、体積相転移を示すゲルで有名である。NIPAmを水と有機溶媒のエマルションをテンプレートとしてラジカル重合することで感熱応答型のゲル微粒子や中空粒子を合成した。エマルションの内部もしくは外部から重合開始材を供給することで、剛体及び中空ゲル微粒子の合成を行った。中空ゲル微粒子は精製の工程でカプセルが破壊し、うまく測定試料を準備することができなかった。その一方で剛体ゲル微粒子の温度変化を追跡することはできた。今後は、モニタリングのシステム構築を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初の計画通りに実験、解析、検討が行えた。マイクロカプセルの作成がうまく行かなかったが、感熱応答ゲル微粒子は作成でき、その温度依存性も計測することができた。また、剛体粒子及び中空粒子の超音波散乱解析システムは完成し、今後はオンラインモニタリングシステムへの発展を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度はモニタリングシステムの開発を行う。これにより、シェル構造体の存在を確認できるシステムが確立できると期待される。
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Research Products
(6 results)