2016 Fiscal Year Research-status Report
微量元素添加による粒界制御とイオニクスデバイスの効率化
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15K05649
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
嶺重 温 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (00285339)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | イオン伝導体 / 燃料電池 / アパタイト |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、粒界の特性に及ぼす影響を調査する一環として、アパタイト構造を有するランタンシリケート(LSO)試料の単結晶作製を行い、c軸方向に高いイオン伝導性パスを有する本材料の異方性イオン伝導挙動を解明することを目指した。本研究ではフラックス法を適用し、比較的簡易な方法でありながら、粒界フリーで究極の配向体であるLSOの単結晶の合成に成功した。さらに結晶のc軸平行方向並びに垂直方向の伝導度測定を行うとともに、産業技術総合研究所の協力を得て二次イオン質量分析装置を用いた拡散係数測定を行った。得られた結果からハーベン比を求めたところ、c軸平行方向には準格子間拡散的なイオン挙動、c軸垂直方向には空孔拡散的なイオン挙動であることを強く示唆する結果が得られた。これはc軸方向に、拡散係数の値から予想されるよりも高いイオン伝導度を実現できていることを示し、本材料の特徴をよく表すものであった。一方で、本法による単結晶作製の問題点も明らかとなった。即ち、結晶作製直後には、フラックスとして用いているフッ化物イオンが多く残存し、イオン伝導を阻害していることであった。そこで、空気中でのアニールを繰り返すことによりこの点を改善し、イオン伝導度の向上、また方向により異なる活性化エネルギーを明確に示すことが明らかとなった。次年度は伝導度を高めるイオンドーピングを行った組成での単結晶、多結晶を作製し、イオン伝導度、活性化エネルギー、ハーベン比を算出し、イオン伝導挙動を明らかとしながら、本材料における粒界挙動を明らかとし、デバイスの効率化を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度評価の行えなかったイオン伝導度の評価が確実に行えることとなり、多結晶における粒内、粒界抵抗を切り分けて評価できることに加え、単結晶における各軸方向のイオン伝導度の評価も可能となった。理想的な単結晶の合成法も確立されたことから、最終年度において作製法の異なる種々単結晶、多結晶における評価を実施できる体制が確立された。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに確立した測定法、単結晶作製法に加えて、既に明らかにしているイオン伝導度の組成依存関係を駆使し、最適な粒界構造をもつ電解質の完成、高性能燃料電池の構築、性能評価を実施する。
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Research Products
(1 results)